「掃除・洗濯・料理」も大変だが「名もなき家事」も厄介だ
ほとんどの既婚女性は、家事を夫以上に担わされ、それなりに頑張っている。決して、やっていないわけではないのだが、その作業以上のスピードで「元のもくあみ」にしてくれちゃう人たちが家庭内に多すぎるのが問題なのだ。
まるで「賽の河原」。「達成感」がない作業は、ため息だらけの苦行となってしまう。
3 集中力が発揮できない
家事や子育てをしんどく感じる原因のひとつに「集中力が発揮できない」という問題もある。何かを行う時には集中してそれをやりきりたいと考える人は多いだろう。しかし、特に子育て中は、その「作業に没頭し、さっさとそれを終了させたい」という欲求が満たされることはまれだ。邪魔する者(夫や子供)が必ず現れるのだ。
トイレで用を足す。浴槽につかり、しばしの間、ぼーっとする。朝までぐっすり眠る。こうしたささやかな「自分だけの時間」も確保できない時期が子育て中には確かにある。
もちろんわが子のことであれば、これらを受け入れる母はいるだろうが、夫は別だ。「お茶入れて!」だの「あれはどこにある?」だの言い出して、妻の作業中の集中力を阻害する夫の何と多いことだろう。
妻たちが不満をため込む要因は「掃除・洗濯・料理」の3大家事ではなく、「名もなき家事」ではないだろうか。「洗濯」「掃除」というような具体的呼び名が決まっていない、細かい家事労働。夫の発する「あれはどこにある?」への対処も「名もなき家事」のひとつではないのか。
夫の発する「あれはどこにある?」に代表される「名もなき家事」
この「名もなき家事」という言葉は、2017年に大和ハウス工業がキャンペーンで使い始めたものだ。家事というものは、夫婦で分担の打ち合わせをして、それをそれぞれが実践すればうまくいくはずなのに、実際にはうまくいかない。その理由を考えていくなかで、生まれた言葉だという。筆者は「名もなき家事」をさらに次の3つに分類している。
1 整理整頓
2 補充
3 取捨選択
具体例を挙げてみる。
1の「整理整頓」は、ゴミ収集日の作業に代表される家事だ。広義のカテゴリーでは「掃除」に入るかもしれないが、似て非なるものだ。家中のゴミ箱、排水溝、ベランダの落ち葉に至るまでのゴミを集め、その収集方法に従う形で、決められたルール通りにゴミの集積場にゴミ袋を出し、さらに新しいゴミ袋をセッティングするという作業までが一連の流れである。意外にしんどい。
例えば、ペットボトルの回収があるとすれば、中身を捨て、ボトルをすすぎ、キャップとラベルをはがし(さらにPTA活動でキャップを集めていれば、別保存し)、指定日に出すという作業が発生する。