「石破派」の山下氏を法相に据えた本当の狙い
法案は11月2日に閣議決定。舞台は国会に移り、法案審議が始まる。そこでは山下氏が答弁の矢面に立つ。元検察官で、直近まで法務政務官をしていた山下氏は、入管難民法を熟知している。安定した答弁が期待できる。
それ以上に、忘れてならないのは山下氏が石破氏所属である点。彼が責任者である以上、石破派やその他の非安倍系の自民党議員は法案に反対したり、水面下で野党側と共闘したりして足を引っ張るようなことはできない。
こう考えると、この法案の前途は、マスコミ各社が報じているほど暗くはない。野党は反発するだろうし、自民党保守派も注文をつけるだろう。しかし最終的には今国会中に成立して、政府方針通り来年4月から施行される可能性は十分あるのではないか。
今国会では、片山さつき地方創生相ら閣僚のスキャンダルが相次いでいる。第4次安倍改造内閣の人事は、ネガティブなニュースがあふれているが、その中でしたたかな「装置」も仕込まれていた。
入管難民法の改正で、この人事が機能することが証明されれば、安倍首相は次に憲法改正で「敵のいない総務会」と「総務会長の調整能力」をフルに利用しようとすることだろう。