1日4試合ではなく、朝と夕方の3試合に変えればいい
朝日とともに大会を主催する日本高等学校野球連盟は、熱中症対策として、
「大会の入場行進では選手やプラカードを持つ女子生徒に水を携行させ、給水時間も設けた。また理学療法士が試合前に両チームの健康チェックを行い、試合中もネット裏から体調や給水を監視しています」(スポーツ紙アマ野球担当記者)
だが鷲田は、これは熱中症の発症後や発症しそうになった際の事後対応でしかないと難じる。
いますぐにやるべきは、選手が熱中症で倒れないためのルール作りである。今年と同様に猛暑が続いた2015年の夏の甲子園では、両手や両足のけいれんで交代する選手が続出した。
そのためには、1日4試合ではなく、午前1試合、薄暮の午後4時からとナイターの2試合の3試合にする、京セラドームでの開催などが検討されているといわれているが、
「高野連は一日三試合だと大会期間が延びて球場使用料や選手の滞在費など運営費が大きく膨らむのがネック。ただ、現状のままでもし命に関わる大事故につながったら、高野連と朝日新聞はどう責任をとるのかと言いたい」(スポーツ紙デスク)
都合の悪い事には口をつぐむという朝日新聞の悪しき体質が、ここにも出ている。
ダルビッシュ有「ベンチ入りの人数を増やすべき」
暑さだけではない。外国メディアには「クレージー」としか見えない選手たちの酷使は、一向に改まる様子はない。
2013年の春の選抜大会で、済美高校の右腕・安樂智投手が、初戦の延長13回完投を含めて5試合46回を一人で投げ抜いた。総投球数772球。この時も、アメリカでは大きな批判が巻き起こった。にもかかわらず、日本では美談として報じられたのである。
すでにメジャーリーグで活躍していたダルビッシュ有は、ツイッターでつぶやいた。
「僕は一年生なら五回、二年生なら六回、三年生なら七回と、学年別に投球可能なイニングに制限を設け、ベンチ入りの人数を増やすべきだと考えています」
安樂は2014年にドラフト一巡指名で楽天に入団する。2016年には12試合に先発して3勝5敗だったが、今季はキャンプ中に肩の不調を訴えて一軍登板はない。
高校時代から活躍していた田中将大や前田健太、大谷翔平などが故障を発症しているのも、その頃の投げ過ぎが原因ではないかといわれている。黒田博樹投手(元広島)や43歳で現役の上原浩治投手(巨人)は、高校では控え投手だったため肩や肘を酷使しなかったことが、選手生命を長持ちさせているのではないのか。
そんな中で高校野球にも今年春からタイブレーク制度が導入された。これは延長戦に入ると人為的に走者を塁に置いて、甲子園では無死走者一、二塁から攻撃が始まる。一見、選手ファーストに見える改革のようだが、一番の理由は延長引き分け再試合が増加したことによる弥縫策でしかない。