編集部 不動産投資といえば、物件さえ持てば安泰というイメージがありましたが、景気の動向、入居者や物件との関わり方で大きく左右されるということがわかりました。では最後に、皆さんが考える不動産投資がうまくいくコツと、今後の展望についてお聞かせください。

 うまくいくかどうかは、不動産業者との信頼関係や普段からのコミュニケーションも関係します。まかせっきりではいけません。それに、大家側でも勉強は必要。いまは優良なテキストやセミナーもあるので、積極的に参加してスキルを上げていくことです。私は今後も物件を増やしていく方針ですが、どうすれば融資を受けられるか、入居率を高められるかということについて考えながら、サラリーマン生活と両立しながら不動産投資を楽しんでいきたいです。

 目指すは家賃収入1億円です。それに、借地を活用するなど、難しい案件にもトライしていきたいですね。不動産投資で大事なのは、「持ち続けること」。いずれは子どもに引き継ぐわけですから、彼らをどう教育していくかも課題です。私個人としては、不動産投資を始めて、主婦ではなく、ひとりの女性として独立できたとも思います。仮に離婚しても怖くない(笑)。とにかく勉強を重ねて、入居者に喜んでもらえるような物件を増やしていくことが目標です。

 もっとも重要な課題は空室対策。築20年以上の物件も多いので、ポートフォリオの入れ替えも視野に入れています。そのためには、物件を高く売却しなければならないので、やはり入居率を高めていくことが重要。それには不動産業者の協力が不可欠で、契約が決まると担当者にインセンティブを与えるなど、WIN-WINの関係づくりをしていくことも大切だと考えています。また、私には息子がふたりいるのですが、山田さんと同じく後継者についても、そろそろ考えていかないといけませんね。

 3人のお話を伺ってわかったのは、安定性が高いといわれる不動産投資も、一歩間違えると、人生を狂わせる危険性があるということ。投じる資金も莫大なだけに、ちょっとした間違いが大惨事を招きかねない。景気の影響も想像以上に深刻だ。こういった現状や、投資に潜む甘い罠に引っかからないよう、取り組んでいく必要性があるようだ。 

(松田健一=撮影)