「子どもたちの放課後を救え!」のNPOが運営

きっかけとなったのは、「放課後NPOアフタースクール」との出会いだという。同スクールは「子どもたちの放課後を救え!」というミッションのもと、地域の人(「市民先生」と呼ばれている)が子供たちの活動をサポートする仕組みを提供している。

放課後の小学校を舞台にたくさんの“市民先生”と子どもたちが出会い、「社会全体で子どもを育てる」のが狙い。設立は2009年で、常勤と非常勤をあわせて220人のスタッフがいる。聖心の学童保育もこのNPOに運営委託をしている。

「私たちがサポートするのは、よりよい親子の関わりです。お稽古ごとはご家庭の力でなさるほうが、お子様のためにもより良いと考え、お稽古ごとはなるべく週末に、と申し上げております。やはり学童保育では、お友達との豊かな放課後を過ごすことを考えてあげたい。そういった理念がアフタースクールさんと一致しました。具体的な運営に関しては、学校の方針に合わせてやってくださっているので、安心してお願いできています」(大山校長)

「ただいま」と帰ってくる聖心の子どもたち

聖心の学童保育「ジョアニークラブ」の利用時間は、午後6時半まで(土日祝日は閉室)。利用者は、働きながら子育てする家庭だけでなく、家族の介護をする家庭も想定しているという。

宿題をしたり、将棋をしたり……。放課後、自宅のようにくつろいで、自由時間を楽しむ(プレデントFamily2018ムック「小学校受験大百科 2019完全保存版」より)

活動場所は、初等科のすぐそばにある元聖心女子専門学校の2部屋。授業を終えた子どもたちは、このうちの1部屋に「ただいま」と帰ってくる。ランドセルや衣服を片付けたら、宿題を持ってもうひとつの部屋へ。漢字や日記などの宿題を終えたら、荷物を置いた部屋に戻り、工作をしたり、パズルやおはじきを使ってゲームをしたり、友達同士で自由に過ごす。

任意参加の活動プログラムは月2回程度。子どもの興味や関心に合わせて、ジョア二―クラブのスタッフがプランを立てている。ふだんは、工作や手芸などが中心で、夏休みなど時間に余裕のある長期休暇は、遠足や料理など少し時間をかけた体験活動もある。

担当するスタッフには、卒業生や大学生など学校になんらかの関わりのある人が含まれている。そんなスタッフから学校側への細かい報告も、安心感を与えている。ジョアニークラブ責任者の石井眞由子さんは「学校というより家に近い感覚があります」と話す。

都会にありながら緑豊かで静かな聖心のキャンパスは、まさに聖心の創立者が子ども時代を過ごしたフランスの田舎町「ジョアニー」そのもの。

「ジョアニーはブドウ畑の広がる自然豊かな静かで穏やかな田舎。その町の名前にちなみ、ジョアニークラブと名づけました。ここは安心して遊べる場所がたくさんありますから、子どもたちも楽しいでしょうね」(大山校長)