キーワードは「2001年の再現」
石破氏に勝ち目はないのか。そうではない。キーワードは「2001年の再現」。17年前の4月に行われた総裁選と同じ構図になれば、まだ大逆転の可能性は十分ある。
森喜朗氏の辞任に伴って行われた同年の総裁選は、当初、橋本龍太郎氏の当選が確実視されていた。ところが、結果は小泉純一郎氏が勝った。
最大の理由は党内人気ナンバーワンが小泉氏側についたからだ。当時の人気ナンバーワンは、歯に衣着せぬ語りぶりで注目された田中真紀子氏。総裁選を前にした3月27日、小泉氏は田中氏と会談し「小泉-真紀子連合」で意気投合した。
それまで小泉氏は「総裁選に出るかどうかは五分五分だ。このままで戦ったら負ける」と言っていたが、日を置かずに出馬を決断。田中氏は小泉氏の推薦人に名を連ね、2人はツーショットで全国遊説した。死去した小渕恵三元首相を「おだぶつ」と言ってひんしゅくを買ったこともあったが、それも含めて真紀子ブームを起こし小泉氏に勝利をもたらした。
今の石破氏のほうが政治経験も知名度も上
この時の構図を、今に当てはめてみよう。当時の小泉氏の役回りをするのは石破氏。「石破氏と小泉氏では器が違う」と思う人もいるかもしれないが、01年の総裁選前の小泉氏はまだ「出ると負け」と言われた泡沫候補扱いだった。今の石破氏のほうが政治経験も知名度も上だ。
田中氏の役割を果たす適任者がいる。小泉進次郎党筆頭副幹事長だ。進次郎氏の人気が政界随一であることに異論をはさむ人はいないだろう。マスコミ各社の世論調査では「次の首相候補」で安倍、石破の両氏をしのいで1位になることもある。テレビカメラの前に立ち短い言葉で鋭く切り込む姿は、父親・純一郎氏のDNAを引き継いでいる。彼が石破氏支援に回って総裁選を戦えば、17年前の「小泉・真紀子」に勝るとも劣らないタッグとなる。