たしかに日本の近現代史教育は貧弱だが……
私は、現在の学校教育、特に歴史教育に全く瑕疵がないというつもりはない。確かに丸川の言うように、日本の学校教育における近現代史教育は貧弱で、それを逆手にとってトンデモ・陰謀論を「真実の近現代史」として吹聴する保守系言論人の跋扈する隙を与えてしまった。
しかし、丸川は1971年生まれ東大卒、現在47歳。そろそろ自分の積年の怠惰を教育のせいにするのは凡庸な価値観と言わなければならない年だ。ちなみに私は現在35歳で、例えば胃がんのステージ2とステージ3の境界がなんであるのか即答できないし、超ひも理論とかヒッグス粒子といわれても全然ピンと来ないのだが、それは学校教育のせいではなく、少なくとも一般向けの医学書や宇宙物理学の本をあまり読んでいない自分の怠惰に尽きる、と自覚しているつもりである。
丸川は2010年5月21日の参議院本会議で、当時の鳩山由紀夫首相を「ルーピー」（愚か者）と呼んでヤジったことが大きく報道された。
私は鳩山首相について「ルーピー」を通り越して「異星人」という形容にふさわしいと思っているし、やはり鳩山政権でいろいろなことがこんがらがったと思っているし、鳩山が辞職した後に「鳩山イニシアチブ」などといって地球温暖化問題に対して積極的な提言を行っているが、これらはすべてアル・ゴア（※）の足元にも及ばないと酷評している立場だ。
が、少なくとも丸川をして鳩山を「ルーピー」と呼ぶ資格はないと思う。（文中敬称略）
※アル・ゴア／2000年大統領選挙でブッシュ・ジュニアのフロリダ州の選挙人（25名）獲得をめぐって再集計騒動を演じた元民主党副大統領（クリントン政権）。選挙敗北後は元政治家としてドキュメント映画『不都合な真実』の脚本を務めるなど、地球温暖化対策、エネルギー問題についての積極的な提言や講演を行い、2007年にノーベル平和賞受賞に至る。が、テネシー州にあるアル・ゴアの自宅電気代が年300万円にのぼることが米メディアですっぱ抜かれた。