「表情」でメッセージを増幅させる!

(2)顔色・表情

【ケネディ候補】
プロによるテレビ用のメイクアップを施し、健康的に見える。
笑顔が多く、終始表情が豊か。

【ニクソン候補】
プロによるテレビ用のメイクアップを拒否したため顔色が悪く見える。
笑顔は少なく、終始表情が硬い。

顔色や表情を見てみると、ケネディ候補は、顔色がよく、表情が明るいので、言葉のメッセージも明るく伝わります。

一方、ニクソン候補は、顔色が悪く、表情が暗いので、言葉のメッセージも暗く伝わります。たとえ、どんなに明るいメッセージであったとしても、言葉通り明るくは伝わりにくくなります。

「姿勢」で言葉の信頼感を強くする!

(3)立ち居振る舞い

【ケネディ候補】
背筋をピンと伸ばして、堂々と立っている。
座っている姿勢も良く、終始落ち着いた動き。

【ニクソン候補】
背筋が曲がり、演説台に寄りかかっている。
座っている姿勢は悪く、終始落ち着かない動き。

立ち居振る舞いでは、ケネディ候補は、背筋を伸ばし、堂々とすることで、言葉の信頼性が増し、メッセージが力強く伝わります。

一方、ニクソン候補は、背筋が曲がり、体の軸が曲がっていることで、自信のなさや不安があるのではないかと感じさせ、言葉に疑いが入りやすくなりメッセージが弱く伝わります。なお、ニクソン候補が演説台に寄りかかっていたのは膝をけがしていたためであり、頻繁に汗を拭いていたのは、ハードなキャンペーンをこなしていたため体調不良であったので、大量の汗をかいていたというのが理由でした。

演説や実績には絶対的な自信があり、それらの振る舞いは決して「自信がない」「焦りがある」ということではなかったのですが、見ている人への印象としてはそのように伝わってしまいました。

人は「事実であるかどうか」ということ以上に、「どのように見えているか」ということによって心が動き、大きな決断をするということが分かります。このように、テレビが普及して初めての大統領選挙でケネディ候補を大逆転勝利に導いた理由は、緻密な「外見戦略」にあったのです。

川園樹(かわぞの・いつき)
国際イメージコンサルタント。明治大学法学部卒業後、富士通株式会社で営業戦略を担当。退職後、Image Resource Center of New York認定スクールで国際基準のイメージコンサルティングの手法と実践を学ぶ。アメリカにてAICI(国際イメージコンサルタント協会)の国際イメージコンサルタント資格を取得。帰国後、海外の要人や政治家、上場企業経営者、文化人やスポーツ選手、起業家など3000人以上のイメージコンサルティングを担当。成果を出すコンサルティングに定評があり、個別コンサルティングはキャンセル待ちが続いている。
(写真=iStock.com)
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