絶対に、「無礼講」は存在しない

そして、我々発達障害の人間にとって最も重要なこと。それは、「喋るな、喋らせろ」ということです。もちろん、質問をされたり話題を振られたりしたときは返す必要はあります。しかし、それもなるべく簡潔を旨としたほうがいいでしょう。

借金玉『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)

我々は往々にして極端に喋れない、あるいは延々と喋り続ける、衝動性に任せて喋るべきではないことを喋る、そういうことが起こりがちです。しかも、アルコールまで入っています。飲み会の解放的な雰囲気もあるかもしれません。事故が起こる要因が全て揃っています。

地球上に無礼講の場など存在しません。UFOが夜空を舞い、ビッグフットが町を駆け回ったとしても、無礼講の場は存在しません。職場の飲み会においては素の自分を出していいタイミングなど永遠にないと考えておくのが、基本的には正解です。職場の飲み会で素の自分を何の不安もなく出せる立場の方がこの本を読んでいるとも思えませんし……。「無礼講」の定義は部族によって違い、「祭りの作法」のようなものです。観察して理解しましょう。

飲み会の場は、人間同士が値踏みし合う場だと認識しておくのが正解です。逆に、稼げる評価はここで稼いでおきましょう。飲み会の話題で鉄板なのは、「誰かにお礼を言う話」と「誰かを賞賛する話」です。量を飲む必要はありませんが、美味そうに飲み、食べることを心がけましょう。楽しいフリをしましょう。そして、飲み会が終わったら「本日はありがとうございました。とても楽しかったです」と言いましょう。

飲み会の帰りは「本当に疲れた」という気持ちでいられれば安心、くらいの感覚でいいです。逆に、「今日は楽しく喋ったなぁ」という感想が出てきたら、もしかすると少し危ないかもしれません。

借金玉(しゃっきんだま)
1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。いろいろありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」からはいだし、現在は営業マンとして働く。ブログ「発達障害就労日誌」(http://syakkin-dama.hatenablog.com)ツイッター @syakkin_dama
(写真=iStock.com)
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