強みを生かし、先手を取れ
これまでのテレビ局は、視聴率が高ければCMの単価が上がり、大きな儲けが出るというどんぶり勘定で経営をしてきました。しかし、これからはこの体質も変えていかなくてはなりません。コンテンツごとに長いレンジでしっかりと採算管理する仕組みを採り入れることができれば、テレビ局には大きな未来があるはずです。
映像コンテンツに対する需要はますます高まっています。その最大の理由は、ネット配信の手段が発達し、枠が急激に増えているからです。
増えたこれらの枠を埋めるのは、テレビ局なのか、それ以外の勢力なのか。それを決める1つの分岐点が今なのです。この重要な局面を外さずに、コンテンツの供給者としてしっかりと食い込んでいければ、当分の間、テレビ局が殺されることはないでしょう。テレビ局には一日の長をはるかに上回るものが備わっているのです。
分岐点にある今、各局は横並びの状態でいるわけにはいきません。どこかの局が、いち早く先んじて動くべきです。先手を打ったテレビ局が、必ず勝者になっていくでしょう。
慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授
1965年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京ガス入社。95年ペンシルベニア大学経営大学院卒業。97年NTTドコモ入社。iモードの立ち上げに関わる。現在はドワンゴなど複数の取締役を兼任。『自分イノベーション』(総合法令出版)『「当たり前」の戦略思考』(扶桑社)など著書多数。