ネットフリックスなどでは、すでにそれぐらいの長さのオリジナル作品が数多く配信されていることを考慮すれば、地上波で人気作品となっているドラマは、ネット配信でも新たな視聴者を獲得できるはずです。
ロングバージョンには、ショートバージョンでカットされた中間のストーリーをそのまま残します。こうすることで、より深い意味をドラマに盛り込むことができます。能力の高い脚本家はたくさんいるので、ストーリーはいくらでも作れるはずです。今まででも、1年間にわたって放送されるNHKの大河ドラマは、年末に総集編として4~5時間のダイジェスト版が放送されてきました。
さらにパッケージで売る際には、CMの後の重複部分や前話の振り返り部分をすべてカットし、オリジナルのフォーマットで収録するのです。
視聴者は「別バージョン」を歓迎する
このほか、バラエティの場合は120分のフォーマットで制作します。これをテレビ用として45分に編集し、ネットの場合はオリジナルを配信すればいいでしょう。生放送のバラエティであれば、さらに変化を加えられます。地上波では2時間番組とし、ネットでもサイマル放送を行って、ネット配信のほうには30分の延長部分を付け足すのです。こちらでは出演者たちに2時間の本編について語ってもらいます。これをすることでオマケ感が出せるので、コンテンツをより面白いものにすることができるのではないでしょうか。
コンテンツは、制作側が編集を施すことによって様々な長さの“商品”に作り分けることができるのです。どうして今すぐにこれをやらないのか私はいつも不思議に感じています。
テレビ局の関係者に直接提案したこともありますが、決まって返ってくるのが「ドラマのクオリティが下がる」ということです。その言葉からは「新しいことはやりたくない」という空気しか伝わってきません。もしかしたら自信がないのでしょうか。
地上波で放送するショートバージョンの視聴率が良ければ、スポンサーは喜びます。その上で、ロングバージョンをネットで配信すれば、さらにそこから収入が得られるのです。コンテンツが良ければ、視聴者は何度でも見たくなるものです。別バージョンがあるとなれば、視聴者は必ず興味を示してくれます。