そしてもう一社、忘れてはならない超重要プレイヤーが、中国の滴滴出行です。
現在、中国国内市場のシェア9割を獲得。世界のユニコーン企業10社のうち時価総額1位はウーバーですが、滴滴出行も10位圏内につけています。滴滴出行に限らず、昨今の中国企業が米メガテック企業のミッションを貪欲に「パクリ」ながら、米メガテック企業以上のスピード感でそのミッションを実現しつつあるのは、驚くべきこと。次世代自動車産業のグローバルなリーディングカンパニーは滴滴出行、そんな未来像も十分に考えられるのです。
ウーバーの正体は「ビッグデータ×AI企業」
2018年1月、ソフトバンクグループが8000億円を投じて筆頭株主になったことで、改めて「ウーバーとは何者か」と日本でも注目が集まりました。2010年6月、サンフランシスコでサービスを開始したウーバーは、瞬く間に成長していきました。2016年時点での数字を挙げると、80以上の国・330以上の地域でライドシェアサービスを展開。毎日100万回以上の乗車が行われ、年間の取扱高は2兆円を突破、その企業価値は7兆円を超えると言われています。
ウーバーのサービスを、よく知られるタクシーのそれと比較するならば、次のような違いがあります。タクシーがインダイレクト(路肩で手を上げてタクシーを止める)であるのに対して、ウーバーはダイレクトにアプリでドライバーを呼び出します。またタクシーはピックアップ(車に乗せる)のみですが、ウーバーは加えて、ドライバーのレーティングやモバイル決済などのサービスを提供しています。車種の選択も可能です。エコカー、タクシー、ハイヤー、ミニバンなどからサービスを選べるのです。
ライドシェア以外のサービスもあります。2015年にオンデマンド配達サービスの「ウーバーラッシュ」、2017年には運送トラックの配車サービス「ウーバーフレイト」と、自社サービスを続々とリリースしています。
なぜタクシー会社が「デリバリー」を行うのか
自動車だけではありません。2017年11月には小型飛行機を使った「空飛ぶクルマ」の開発でNASAと提携することを発表、2020年までに試験飛行を行うとしました。
日本ではまだ米国や中国ほど自由には展開できていないものの、タクシー・ハイヤー会社と提携する形で配車サービスを始めています。
それ以外にも日本で展開中のサービスがあります。それが「ウーバーイーツ」です。登録している1000店舗のレストランの料理を一般人である「配達パートナー」が運ぶ仕組みで、これにより普段配達をしていないレストランも利用できることがユーザーの利点です。