2020年までに3兆円市場に成長する見通し

ライドシェアの爆発的な広がりを示すデータを紹介します。

楽天の三木谷浩史社長が代表理事を務める新経済連盟のレポートによると、2015年時点での世界のライドシェアの市場規模は約1兆6500億円でした。同レポートではこの数字が2020年までに倍増すると推計しています。

田中道昭『2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路』(PHPビジネス新書)

ボストン コンサルティング グループは、2030年までに米国を走行する車の全走行距離の4分の1が自動運転に置き換わる、またライドシェアや自動運転、EVの普及によって移動コストが6割削減すると予想しています。

ライドシェア普及のための法整備も進んでいます。特に米国、中国の対応は早いものでした。米国は州単位で法規制を行い、ライドシェアをタクシーとは異なるサービスとして位置付け、運営者には保険加入やドライバー向け研修など、ドライバーには最低1年以上の運転経験を求めるなど、一定の責任を課した上で正式に認める動きがあります。中国では、2016年に「インターネット予約タクシーの経営サービス管理暫定法」を施行して法環境を整備し、米国と同様、運営者とドライバーに一定の責任を課しました。

一方、日本はというと、すっかり世界から取り残されている状況。自家用車を用いたライドシェアリングは道路交通法により「白タク行為」として禁止されています。またタクシー事業者の反発もあり、基本的には容認しない姿勢を示しています。ウーバーは日本でのサービス提供を開始しているものの、行き詰まっており、「当面はタクシーの配車サービスに専念する」としてきました。もっとも筆者としては、ソフトバンクが筆頭株主になったことからも、今後は日本の「サービスカー」事業はウーバーによって大きく変革されると予想しています。

創業者のトラビス・カラニックCEOが辞任

現状、ライドシェアのトッププレイヤーは、これまで再三触れてきた米ウーバー、次いで米リフトです。何かと比較されることの多い両社ですが、その売上規模ではウーバーが大きくリフトに差をつけています。リフトの2017年の売上が1000億円強であったのに対し、ウーバーの売上は2016年時点ですでに約7000億円に達していました。

しかし昨今のウーバーは度重なるトラブルに見舞われています。2017年6月には、セクハラ問題など数々の不祥事の責任を取る形で創業者のトラビス・カラニックCEOが辞任しました。自動運転でも死亡事故を起こしており、CEOが交代してもその経営は不安視されています。

またウーバーのドライバー管理には問題がある、利用者の声への対応はリフトが上との見方もあり、利用者の増加速度ではリフトのほうが上。第3章でも、グーグルの自動運転子会社のウェイモが、提携相手をウーバーからリフトに乗り換えたニュースに触れましたが、リフトの躍進が目覚ましい状況です。