「もし自分たちが経営者だったら」を考えてもらう

人は自ら育つものであり、育てるものではないと思っていますので、「育成」というとおこがましいのですが、次のような施策を始めています。

DeNAは2019年に創業20周年を迎えますが、現在の社員数は連結で2400人にまで増えました。次の世代へのバトンタッチも考えなくてはならない時期でしょう。そこで、取締役や執行役員をめざす20代、30代の若手数十人を集め、「ネクストボード」として勉強会を開いています。これは彼らに「もし自分たちが経営者だったらどうするか」という視点で考えてもらうための試みです。

ただ若い人たちには、会社に育ててもらうのではなく、仕事を通じて自分の力で成長するという気概を持ってほしいと思います。上司から割り当てられた仕事をこなすだけでなく、自分から「こういう仕事をしたい」「こういう能力を身につけたい」というWillを抱いて行動するようになってほしい。私自身の経験からも、今の自分の能力に比べて少し難しすぎるぐらいの仕事にチャレンジし、結果を出すことが、人を大きく成長させるものです。

インタビューを終えて感じたことは、「ベンチャー経営者らしい、すがすがしい物言いだ」ということです。守安さんは、この特集の統一質問に対して、好きな言葉は「ハングリー精神」、尊敬する人は「イーロン・マスク(米テスラ、スペースX創業者)」と答えました。座右の書は、理系の出身(東大大学院航空宇宙工学専攻)らしく、先日亡くなったスティーヴン・ホーキング博士の『ホーキング、宇宙を語る』。

プレジデント(2018年4月30日号)の特集は『いる社員、いらない社員』です。

ホーキング博士の夢に導かれ、宇宙を目指す同世代のマスク氏の姿にライバル心を燃やす。もちろんバックグラウンドにあるのは、飽くなきハングリー精神です。

近年はWELQ問題で謝罪に追われるなど、苦しい時期も経験しました。おそらくはそのことも踏まえて、失敗しても「再びチャレンジしていく。そうした強いWillとPassionを持った人が集まる会社にしていきたい」と守安さんはインタビューで明言しました。

個人としても会社としても、再び、みたび、挑戦する心を失わずに成長してほしいと強く思いました。

これは「永久ベンチャー」であるDeNAだけに当てはまることではありません。事業とはそもそも、そういうものではないでしょうか。ご登場いただいたすべての企業、すべての経営トップに、上の言葉を贈りたいと思います。

(写真=iStock.com 撮影=大杉和広)
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