ウソのESで書類選考を行う「エイプリルフール採用」
また、「面白法人」というコンセプトが社内に浸透するように、給料日前に全社員がサイコロを振り、「基本給×(サイコロの出目)%」が、給与に足される「サイコロ給」や、ウソをつくのも才能の1つと考え、4月1日限定でウソのエントリーシートで本当に書類選考を行う「エイプリルフール採用」など、他社にはない制度も数多くつくってきました。
このような制度がその目的を達成できないこともあります。その意味ではムダなことかもしれません。しかし、たとえ失敗しても他社が行わないことを行ったという事実は残り、それによって面白法人としての価値が蓄積されていくのです。
私たちは「面白法人」と名乗っている通り、カヤックは面白い職場をつくることに重点を置いてビジネスを行っています。昨今、多くの企業で取り組みが進む「働き方改革」についても、カヤックでは生産性の向上よりも、どうすれば仕事が面白くなるかということに注力しています。生産性を追求しすぎると、面白い発想ができなくなってしまいます。表面上は“ムダ”と思われることに費やす時間が重要な意味を持ちます。
面白法人というブランド価値を上げる
カヤックが積極的にブレインストーミングを行っている理由もそこにあります。ブレストでたくさんのアイデアを出すことを奨励しています。しかし、出てきたアイデアのうち、実際に使えるものは2つか3つぐらいしかないことがほとんどです。そういう意味では、ブレストはムダな時間といえるでしょう。
とはいえ、ブレストは仕事を面白がる体質になるための必須トレーニングだと考えています。
ブレストを行うことで仲間のアイデアに乗っかり、仲間のアイデアを褒めあうことでチームワークがよくなります。また、数多くのアイデアを出すトレーニングが仕事を面白がることにつながるというメリットも見逃せません。会社に課題があったときにただ批判するだけではなく、どうすれば課題を解決することができるのかを自然と考えられるようになるからです。
社員が自分の所属する部署以外のブレストに参加できる時間も用意しています。ブレストによって生み出された施策やサービス、コンテンツの中には失敗したものも少なくありません。しかし、それも面白法人というブランド価値を上げることに貢献するため、採算を度外視して面白いことに挑戦するための予算を組んでいます。それが結果的に社員が面白く働くことやカヤックは面白い会社だと発信することにつながっているのです。