なぜハガキ1枚を、3分30秒で書けるか

じつは私も昔から見切りが早かったわけではありません。ただ、数々の失敗を重ねてきたからこそ、「こうなったら撤退する」という自分なりの基準ができてきた。人は失敗からしか学べません。判断のスキルが10だった私も、失敗を重ねるうちにスキルが20、30と伸びて、いま精度の高い決断ができるようになったわけです。

即断即決して失敗して血を流しながらも経験を積んでいく人と、失敗を恐れるあまり決断を先延ばしにする人では、仕事のスピードだけでなく判断力も差がついていきます。若いうちは失敗すればするほどいい。「もっと考えたほうが」「もっと情報を集めてからのほうが」という暇があったら、さっさと決断して実行に移す。これに勝る時間術はありません。

仕事を早く片付けたければ、手を抜くことも覚えたほうがいいですね。部下はスキルが低いから自分でやったほうが早いという人もいますが、そんなことはありません。その仕事を処理するのはキャリアの長い上司のほうが早いかもしれませんが、その間、上司はほかの仕事ができなくなる。全体の効率を考えるなら、アウトソーシングできるものは積極的にしたほうがいい。

人に任せるときのコツは、完璧を求めないこと。私は講演の原稿を若手社員につくらせています。人に任せて60点のレベルで返ってきたら上出来です。残りの40点をカバーしなければならなかったとしても、自分で一から原稿をつくるよりずっと早くできます。

使い回せるものは徹底的に使い回します。私は社員の誕生日に直筆のハガキを送っていますが、その文面も10パターンのうちから相応しいものを選んで書いています。内容を考えなくていいからスラスラ書ける。宛先を含めて表裏書くのに1枚3分30秒です。

そもそも手書きのハガキが非効率で、ぜんぶ印刷してしまえばいい?