原発事故の影響も 首都圏からラ・サールへ
ラ・サールは2010年以降、東大合格者ランキングのトップ10から姿を消している。2011年には29人と低迷。中学の受験者数も減少傾向が続いていたのだが、2012年より受験者数は増加に転じている。2012年の615人から、13年683人→14年733人→15年673人→16年770人→17年954人と増え、18年は950人だった。
2017年以降は名門校である久留米大学附設中学・高校(福岡県)と受験日程が重ならなくなったため単純な比較はできないが、東大実績において「凋落」と言われた時期においても、受験者を増やしているのだ。
▼震災の影響で寮のある学校が閉校に追い込まれた
その主たる要因は「国公立医学部実績」だと考えられる。2009年から2012年までの国公立医学部合格者は89人→89人→69人→77人と全国トップレベル。卒業生数が220人~250人程度と他校より少ないため、合格率の高さに注目が集まった。
そして、もうひとつの要因として「寮のある西日本の学校」ということも考えられる。震災以降、子供を安全安心なエリアで学習に励ませたいと、西日本の学校へ目を向ける親が増えた。ラ・サールの受験日は1月中にあるので、ラ・サールの合格を勝ち取ってから、2月の首都圏(東京・神奈川)の受験に臨み、縁がなければラ・サールに進むという選択肢を考える家庭は、私のまわりでも目立つようになった。
今年のラ・サールの東大合格者数は42人(昨年は40人)。受験者数がいったん落ち込んだ6年前(その後、急回復)の結果だけに1980年代の勢いとはいかないまでも、復権と言っていい。開成や筑駒、桜蔭の生徒の多く通う大学受験塾「鉄緑会」は鹿児島にはない。ラ・サールでは塾通いの生徒が極めて少なく、塾に通わず高い進学実績をもつことは大きな特徴だ。
ちなみに東日本では、震災の影響で寮のある学校が閉校に追い込まれている。栃木県の那須にあった全寮制中高一貫校の那須高原海城は震災で校舎が被災し、2012年以降の生徒募集は行わず、2017年3月に閉校している。