長男「お金を自分で管理できるようになりたい」

また、ビル売却にあたり、引っ越しする必要があることを伝えると、長男は「この家には、なんの思い入れもありませんね。住居スペースに住む子供の叫び声や騒音にもストレスを感じています。出かけるにも、ビルにいる人たちの目を気にしないといけないので、引っ越しについては何の問題もないですよ」とのことでした。

本人にとっては、いい思い出のない家。そこから出られるきっかけになると前向きに捉えているようで安心しました。

長男が望む「静かな場所」で新たに生活をはじめるため、月6万円程度の家賃を目安に住み替え先を探してもらうことになりました。

▼ライフプラン実行後、長男に見られた小さな変化とは

その後、しばらくして、この家庭を訪問しました。長男は「静かに暮らせています。広さも1人で住むにはちょうどよい」と語り、以前より目に生気があるような印象でした。また長女も、将来のお金の不安がなくなったことで、精神的に落ち着きが出てきたと感じているようです。

写真=iStock.com/naotoshinkai

帰り際に、私は長男にこうアドバイスをしました。

「毎月の生活費が20万円あっても計画的に使わなければ、雑居ビル売却で手に入れた資金も途中でなくなってしまいます。これ以上、追加で支援できるお金はないことだけはどうかご理解くださいね。ところで、雑費やおこづかいで毎月6万円ほどお使いになっているようです。一般的には、2万~3万円程度が適当かと思われます。何にお使いになっていますか?」

長男は次のように返答しました。

「これといって買い物をしている感覚はないんです。自分でも、何にお金を使っているかよくわかりません。そもそも、適正なお金の使い方がわからない。自分で管理できるようになりたいと思います」

自ら住む場所を選び、第2の人生がはじまったことで、長男に、ひとりで生きていくための覚悟と自覚が芽生えはじめたのではないかと思えるうれしい瞬間でした。

引き続き、お金の残し方を含めた相続対策プランの提案と、長男が自分でお金の管理ができるようにサポートしていく予定です。

(写真=iStock.com)
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