仕事ができる人ほど、適当に手を抜いている

仕事は、他人に任せられるものは任せて、「適当」にやるくらいがちょうどいいのです。ここでの「適当」は、当然、「手を抜く」ということではありません。頑張りすぎることなく、マイペースで仕事をこなすということです。

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仕事ができる人ほど、適当なものです。要領よく仕事ができると言い換えてもいいでしょう。仕事ができる人は、勤務時間中、常に張り詰めているわけではありません。「どんなときでも全力投球」と口にするのは簡単ですが、容易に実行できる人はほとんどいないでしょう。また、仮に全力投球を続けても「いい仕事」はできるわけがないのです。自動車のハンドルに「遊び」が必要なのと同じことです。

あなたが体力的にも精神的にもタフで、多くの仕事を抱え込んだとしても、全力投球すればなんとかこなせる優秀な人材だったとしましょう。それでも、仕事は常識的なキャパの範囲内に収め、「適当」にこなさなくてはいけません。

なぜなら、「現状をこなすこと」に精一杯になってしまうことは、現代社会において、何よりも避けなければいけないことだからです。今、ここにある仕事だけをこなす日々が続くと、「1年先、2年先、10年先を見据えた仕事」ができなくなってしまいます。大企業であっても簡単にリストラを断行する時代ですから、将来に目を向けずに仕事をすることは極めてリスクが大きいのです。

自分よりもスキルの高い人に協力を求めよう

平均よりも仕事ができる、いわゆる優秀な人材ほど、ルーティンワークのエキスパートになりがちです。ルーティンワークのエキスパートとは、他の仕事に対する柔軟性の欠如を意味します。自分がそうだと思い当たる人は、すぐにでも「適当」に仕事をすることを覚えてください。「適当」に仕事をこなして自由に使える時間をつくり、いろいろなスキルを身につけるように努めましょう。

いざ、「適当」に仕事をこなそうとしても、どのようにすればいいのか、戸惑う人も多いはずです。「適当」に仕事をこなした結果、成績が悪化し、社内での評価が下がるのでは目も当てられません。

「適当」でありながらも成績を維持、あわよくば向上させる有効な方策は、部分的でも構わないので、自分よりもスキルの高い人を探すことです。企画書をつくらせたら右に出る者はいない。短時間で正確な見積書をつくることができる。クレーム処理のスキルはピカイチ。そういった個別の業務のエキスパートはいるものです。エキスパートが見つかったら、該当する業務は任せてしまいましょう。彼ら、彼女らに対する報酬は「やりがい」でいいのです。得意とすることを依頼され、評価されれば、エキスパートである彼ら、彼女らは、悪い気はしないでしょう。

要領が良く、頼り上手な超一流は、仕事を上手に分散させます。「いい人」は、自分1人で30kgのものを担ごうとして腰を傷めますが、超一流は、5人の力を借りて、100kgのものを軽々と持ち上げるのです。