ところで、容姿が良いほうが成功するということはあるだろうか? 実はそうだ。美しい女性は4%ほど収入が高く、ハンサムな男性は3%ほど収入が高い。大した違いではないように思えるが、平均的な雇用者の場合、職歴全般を通じての収入が23万ドル以上増える計算になる。一方、魅力的でない女性は収入が3%ほど低く、魅力的でない男性は22%も低いという。ただし、見ばえの良い人のほうが稼ぐのは、その外見が好まれるからではない。調査によると、容姿が良い者は自信を持つようになるからだという。
自信過剰が生産性やチャレンジ精神を高める
自信を持てば持つほど、利益がもたらされる傾向がある。研究によると、人は自信過剰なほうが生産性が伸び、より困難な課題に挑戦するようになり、それにより職場で頭角を現すことになる。自信過剰な人は、実質的に業績を上げている人より、昇進する可能性が高い。すでに述べたように、最初に口を開き、たびたび発言する――つまり自信がある態度――だけで、周りからリーダーと見なされる。
過剰な自信は、勘違いにつながらないだろうか? その通り。しかし、それも良いほうに働く。マーシャル・ゴールドスミスは分析する。「成功者は、良い意味で“妄想状態”にある。彼らには、自らの経歴を、自分が何者で、何を成し遂げてきたかの証明としてとらえる傾向がある。こうした過去の肯定的解釈は未来に対する楽観主義を増幅させ、ひいては将来の成功の確率を高める」。
ある研究によると、「自分を欺くことは、ストレスの軽減、ポジティブな自己バイアス、苦痛への耐性強化と関連し、これらすべてが、競争的な仕事において意欲と業績を向上させる」という。
大半の人はすでに、自分自身に対する肯定的な妄想をある程度持ち合わせている。『USニューズ&ワールド・レポート』誌は1997年、1000人の人を対象に、「死んだら天国に行けそうな人は誰か?」という調査を行った。全回答者の52%がビル・クリントンと答え、65%がマイケル・ジョーダンと答え、79%がマザー・テレサと回答した。
では、最高の支持を集めたのは誰だったか? マザー・テレサをしのぐ87%の人が天国に行けると太鼓判を押した人物は誰かと言えば、それは「私」だった。つまり、回答者の87%は、自分こそが天国の門をくぐるのにふさわしい人間だと思ったのだ。