われわれは「信用」を買ってもらっている
プロパンガス会社には、大きな可能性がある。最大の資産はこれまでに培った「信用」だ。「こんにちは」と訪ねれば、家の中に入れてもらえる。これが他業種の経営者からうらやましがられる特権だ。長年、顧客と付き合ってきた実績があり、顧客のことをよくわかっている。顔も見えている。逆に顔も知られているから変なことはできないというプライドもある。
「アイエスさんのことを信頼しているから、キッチン全部変えてくれない?」とか「お風呂をリフォームしたいんだけど、アイエスさんがやってよ」というリクエストを昔からいただいていた。同業他社も同じだ。
こんなことをよく考える。なぜ、私たちは普段よく行く店でモノを買うのか。洋服であれば、どこで買っても一定水準の機能があるのに。結局、人はその店が好きだから、買うのではないか。最終的には、好き嫌いで選ぶのではないか。店にとっては、好かれるか嫌われるかが、それが最大のポイントになるのではないか。言い換えれば、「信用」があるかないかだ。人は、安心できる人や企業からしかモノやサービスを買わない。この点は、前述の新しいビジネスを考えるうえでも重要な点だ
31歳から勉強を始めて27年間。その集大成が、この新しいビジネスモデルになるかもしれない。これまで、座学もたっぷりやったが、それだけでは不十分だった。ビジネスには、生の情報が欠かせないからだ。
有用な情報は、人を通じて入ってくるもの
新規事業だけでなく、ビジネスで優位に立つには情報が欠かせない。新聞やテレビニュースも役に立つが、経営者同士のネットワークが最も有用だ。さまざまな業界のトップとつながっておきたい。まだ表に出ていない情報が、先に入ってくるからだ。「石井さん、これ、あなたに役立つと思うよ」と連絡をくれる。
あとは専門家に会うことだ。役人にしろ、研究者にしろ、上までいく方はもれなく面倒見がよく、丁寧で、偉ぶったりせず、広い人脈をお持ちだ。「石井さんは、この人に会うべきだ」と言っては、キーマンを惜しみなく紹介してくださる。
もちろん、こうした「与えられる状況」がすぐにできたわけではない。私は自分から与えることをずっと意識してきた。「死ぬまでに、何かの形で返ってくればいいや」くらいの気持ちで、ギブ&ギブの精神でやってきた。その結果、想像よりずっと早く、いろいろなものを返してもらえるようになった。私のために何かをしてくださる人には、感謝の気持ちしかない。
ただ、情報が入りすぎるのはよくない。危険なのはネットで調べすぎることだ。私は「縁」を最優先している。強く求めていれば、情報は「縁」を通じて入ってくるものだ。私の情報源は、「人」が8、それ以外はネットを含めて2くらいだ。
最後に、私が経営者として大切にしていることを述べたい。