8年連続赤字、度重なる債務超過、社員のボーナスは何年も出ていなかった。どん底だったメガネスーパーを立て直すべく、外部から招聘されたのが星崎尚彦さん(51歳)だ。三井物産出身、MBA取得後、さまざまな企業の立て直しに成功した「V字回復請負人」である。頭も体も動かさず、現場に責任を押し付ける幹部社員を一喝し、自ら現場に出ていった。前編・後編の2回にわけて、お届けする——。(前編)

「なんだ、この会社は!」心の中で叫んだ

私がメガネスーパーにやってきたのは、2013年6月のことだった。業績を回復させるべく、さまざまな取り組みを進めてはいたが、どこか的外れで、真逆の効果を生んでしまっているケースもあった。速やかに解決すべき課題が山積みだった。

私の経験からして、業績が芳しくない会社には共通する悪癖がある。メガネスーパーにもそれがあった。まず、ダラダラと会議ばかりしていて、物事がスムーズに決まらない。場当たりの議論が多く、うまくいかないことの原因捜しに終始する。そして往々にして、「現場」の責任にする。