経営者や経営幹部の心無い一言、相手の心理をまるで汲み取らないアドバイス、意味のない猥談。それらが引き金となり、男性経営幹部と女性社員との間で関係がギクシャクすることがある。最悪の場合、優秀な女性社員を流出させてしまう。大問題は、男性経営幹部に、まったく自覚がないことだ。

優秀な女性社員の流出が、新たな経営課題

男性は組織に帰属意識を持つが、女性は経営者や上司に帰属意識を持つ傾向が強い。

男性は大企業に所属することへの安心感や会社への愛着、企業の知名度などが帰属意識につながることが多いが、女性は会社や組織よりも上司が尊敬できるか、あるいは上司や経営者が信頼に足るかどうかが帰属意識につながりやすい。

優秀な女性社員が規模の小さいベンチャーや中小企業に懇願されて、大企業から転職するケースをよく目にする。だが、男性の場合は企業の規模や知名度が自分のプライドと重なり、世間の目を意識して、小規模企業に転職することはめずらしい。あるとしても共同経営者のようなオファーを受けた場合だ。

近年、男性よりも女性の方が優秀で、「採用はどうしても女性が多くなる」と人材採用の担当者はよく口にする。人手不足が企業の経営課題である昨今、せっかく採用した社員には存分に力を発揮してほしいと願うのは、どの経営者も同じだ。しかし、些細な出来事で人間関係がギクシャクし、優秀な女性社員が退職してしまうことがある。男性経営者にとって、退職する明確な理由がわからないケースもある。

その原因を探ると、個人の問題ではなく、男女の思考の差、いわゆる男性脳と女性脳の違いに起因することが多い。経営者が男性脳と女性脳の違いを踏まえておけば、女性社員の無用な誤解を避け、退職前に対応できるケースもある。

では、どのような場面で、その違いが現れるのか。いくつかの事例を集めてみた。