国税庁の担当者と議論してわかったこと

【足立康史】維新では無理、ってハッキリ言われると、やりたくなってきます。

(略)

国税庁と2時間くらい議論しましたが、結論は、塾長のラインに一致しました。

ポイントは、

・マイナンバーを活用した新しい管理制度が必要
・新しい管理制度で資産を捕捉し、税制をフロー課税からストック課税へ
・新しい管理制度で社会保障の受益と負担を徹底する
・選択的夫婦別姓について

(※編集部注=以上の項目について、メルマガでは足立氏と国税庁との議論の経緯と一定の結論について公開してあるが、ここでは省略)

先の私の提案は、旧姓使用を選択した親と子の姓・氏が異なることを容認する提案なので、すでに相当ラディカルですが、現戸籍にこだわったために、ややこしい提案になっています。政治的メッセージとしては、実際にフライ(※橋下注―大きく取り上げられる)していません。

現戸籍は廃止し、マイナンバーを基盤とする新しい管理制度を目指す。新しい氏制度は、子どもの権利にも配慮しつつ可能な限り選択を可能とする。

役人と話をして、ようやく塾長の足下に近づいた気分です、汗。

政策実現へ!? これが現実の改革実行プロセスだ

【橋下徹】僕はいつもバクっとした話をするだけですから。それをここまで詰められるとは。これが官僚の力。

この新たな管理制度は、あらゆることに応用が効きます。様々な問題解決、政策実行につながる可能性を感じますね。

維新が出している政策提言には、その実現プロセスが不明のものが多いです。じゃあ、どうやって実現するの? と問われると詰まってしまう。

税制や社会保障制度の抜本的改革を実行するには、管理制度の抜本的改革が必要不可欠なんですよね。

そしてこの新しい管理制度によって氏姓制度にまつわる問題(選択的夫婦別姓の否定)やこれまでの差別問題が全て吹き飛びます。無茶苦茶ラディカル。しかし日本の新しい針路として強烈なインパクトを放ちます。合理性で迫れば誰も反対できません。

マイナンバー制度をフル活用した新しい管理制度を構築することによって、今の戸籍制度を維持するための莫大なコストが削減できます。そして様々な政策・改革が実行できます。

こんな大きなバズーカ砲に対して、夫婦別姓を否定する人たちは、戸籍にまつわる家族の一体性という情緒を持ち出して対抗するのでしょうか。夫婦は姓・氏が一体であるべき、戸籍は夫婦一体であるべき、と。そんな対抗は、木っ端みじんに吹き飛ばされるでしょう。

新しい管理制度への移行というものこそが、日本の新しい針路を示す野党の主張だと思います。

(略)

以上メルマガ3回にわたって足立議員たちと論じてきたことが、現実の政治行政での改革実行プロセスだ。ちまたの学者や自称インテリ、そしてコンサルの意見・提言が如何に薄っぺらなものであるかを理解してもらえたと思う。改革、改革と口で言うのは簡単だし、言いっ放しの意見を言うのも簡単だ。しかしそれを実行しようと思えば、今回のような緻密な議論を途方もない範囲でやり続けなければならない。改革はマクロ(鳥の眼)のアプローチとミクロ(虫の眼)のアプローチの合わせ技で実行するもの。今回の議論はミクロのアプローチの典型例。まさに堅い板に穴をこじ開けていく作業(マックス・ヴェーバー)なのだ。

(ここまでリードを除き約2600字、メルマガの全文は約1万字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.94(3月6日配信)を一部抜粋し簡略にまとめ直したものです。もっと読みたい方は、メールマガジンで! 今号は《【シリーズ:激論】いよいよ改革プロセスへ! 夫婦別姓をどう考える?(その3)》特集です!!

(写真=iStock.com)
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