わが社の社員が結婚し、子どもが産まれたとします。

子どもは、ずっと赤ん坊のままでいるわけではなく、成長します。

子どもが成長すると、養育費がかかる。お金がかかるのに給与がいつまでも変わらなければ、安心して子どもを育てることができません。

社員の生活を守るためには、社員の給与を上げなければならない。そして、社員の給与を上げるためには、なんとしてでも売り上げを上げ、利益を出し続ける必要があります。

つまり、「無理を承知で」というのは、社員と、社員の家族を幸せにするために、「私は、社員の給与を上げるために頑張る」「社長が先頭に立って、汗をかいて働く」という社長の覚悟です。

会社を倒産させる社長は「卑怯な社長」である

なお、私は会社を倒産させる社長は「卑怯な社長」だと考えています。

わが社の社員が、結婚をしたり、子どもを育てたり、家を買ったりするのは、「武蔵野は倒産しない」と信じているからです。その信頼を裏切り、会社を潰してしまうのは卑怯です。

私は、会社を倒産させるわけにはいかない。卑怯な人間になるわけにはいかない。だから、「無理を承知で頑張る」。この強い覚悟を皆に示し、日々実行しているのです。

こうした強い覚悟を示すことができない社長は、やはり「残念な社長」と言わざるを得ないのです。

小山 昇(こやま・のぼる)
1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー(現在の武蔵野)に入社。一時期、独立して自身の会社を経営していたが、1987年に武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。主な著書に「社長の決定シリーズ」の『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』『右肩下がりの時代にわが社だけ「右肩上がり」を達成する方法』(すべてKADOKAWA)などがある。
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