私は、ビジネスに直結することだけでなく、クルマの運転のしかた、安全運転の心得に至るまでルールを定め、1冊のルールブックにまとめています。
そしてこのルールブックこそが、当社の経営計画書となっているのです。
たとえば社長が口頭で、「おい、運転中は携帯電話は禁止だ」と社員に伝え、社員は「はい」と返事をしたとします。
けれど、「はい」と返事をしたからといって、ルールが実行されるわけではありません。社員の「はい」は、「聞こえました」という意味であって、「実行します」という意味ではないからです。
そこで私は、社員が「やらざるを得ない状況」をつくっています。「重大事故防止のために全車両にクラウド型ドライブレコーダー管理システム<タイガー>を設置し、運転マナーを向上させる」と経営計画書に明記することで、実行を促しているのです。
会社は社長が決定したようにしかなりません。そのことを知らない社長、実行できない社長は「残念な社長」と言わざるをえないのです。
ポイント3:強い“覚悟”を社員に示すことができない
前述のように、私は経営計画書に社員の運転マナーの向上まで織り込んでいます。
しかしながら経営計画書は、あくまで社長の姿勢を示すものであり、社員の姿勢を示したものではありません。
社長として自分が「こうする」「ああする」と書くべきであって、あまり社員に「ああしろ」「こうしろ」と書いてはいけません。ついでに言えば、「こうしたい」「ああしたい」という社長の願望を書くものでもありません。
会社の中で責任を取れるのは、社長ひとりです。だから経営計画書には、社長の決意と責任の所在を記す必要があります。
ちなみに、わが社の経営計画書には、「経営計画発表にあたって」と題した一文が掲載されています。これは経営計画書の中で、私がもっとも時間をかけて作成している項目です。その最後に、「無理を承知で、みなさんに協力をお願いします」と書いているのは、社員に仕事や責任を無理強いするためではありません。
「社員の誰よりも、社長自身が無理を承知で頑張る」という私の姿勢、覚悟を表すためです。