将来を見据えた就職「7つの視点」

大企業を取り巻く環境の変化やAIとITの進展を踏まえて、今後どのような職業を選択すればよいか、考察してみると、下記の7つの視点が浮上してくる。

(1)AIやITに代替できない仕事を選ぶ

最初に、外せない条件から。単純作業を繰り返す仕事なら、人間よりもロボットの方が得意だ。銀行、小売、物流では、AIに代替される職種が出てくる。人間にしかできない仕事や職種を選んで、自分の強みを発揮しよう。

(2)「どの企業か」より、「どんな職業に就きたいか」を考える

どの企業に就職しようかと考えるのではなく、自分はどんな職業に就きたいを考え、職種のキャリアを磨ける企業を選択する。これは新卒だけでなく、転職時にも有効な視点だ。終身雇用が前提ではなくなった社会では、どの企業にいたのかよりも、過去にどんな業務に精通していたかが問われる。外資系企業の場合は、どんなビジネススキルを磨いてきたのかが重視される。

(3)学生の人気企業ランキングに入っている企業はあえて避ける

内燃機関を使わない自動車が主流になる可能性を考えると、自動車メーカーですら明日はどうなるか不透明だ。大学生の就職人気ランキングの上位に入っている企業には、10年後には凋落する可能性がある企業も存在し、にもかかわらず多くの学生が応募するので競争率は高い。一方、知名度はなくても、今後成長が見込める事業領域で活躍している中堅中小企業が存在する。入社しやすく、しかも長期にわたって自身の力を存分に発揮できる可能性がある。上場の予定があり、社員持ち株会がある企業なら、社員でも上場益を期待できる。

(4)競争相手が少ない市場で、専門家やプロを目指す

日本人は横並び発想が強く、知らぬ間に他人と同じ行動を取ってしまうことが多々ある。大勢の人が選ぶ道は競争相手が多く、レッドオーシャン(熾烈な市場)になる。逆にブルーオーシャン(競争が少ないのに有望な市場)なのは、ごく一部の人しか選ばない職業や企業だ。こうした領域で活躍している企業は目立たないため、人が集まらないことが多く、入社したら大事にしてくれる。ブルーオーシャンで専門家やプロとして通用する人材を目指せば、企業にいても待遇はよくなるはずだ。

(5)進化できる職種を選ぶ

仕事の内容が誰でもできる作業で、10年前と比較して業務内容に変化がない職種は避けた方が得策だ。キャリアを積めば積むほど、仕事の中味や業務内容を高度化していける職種を選ぼう。

(6)資格だけでは食えないと知る

会社員人生が不透明なら、「士業」でという考えも出てくる。しかし、生き残りにしのぎを削り、熾烈な競争に陥っているのは「有資格者」も例外ではない。例えばコンビニエンスストアよりも数が多く、虫歯治療の技術だけでは生き残れなくなった歯科医、ITに業務が代替されていく税理士、独占業務を持っていない(多くの資格取得者は、法律で独占業務が認められている)中小企業診断士などだ。資格があっても、取引先を見つける営業力を持たない専門家は、生きていけない時代だ。もし資格で勝負したいなら、資格取得と同じ労力をかけて取引先を開拓する営業が必要だ。

(7)家業を見直す

実家や配偶者の親が家業を持っているなら、家業を継ぐことも選択肢に入れる。家業の経営が芳しくないのは、旧態依然とした経営方法に起因することが多い。ニッチ(極めて限定された市場やビジネス)な領域では競合企業が少なく、独自性を発揮できる家業もあるはずだ。自身が経営者になれば、AIやITを活用して人件費を減らし、収益性を高めることも可能だ。家業を見て、改善する余地が具体的に脳裏に浮かぶようなら、家業に取り組む価値があるかもしれない。

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