約半分の仕事は、ロボットに置き換え可能

英・オックスフォード大学でAIなどの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が、同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員とともに著した『雇用の未来 コンピューター化によって仕事は失われるのか』という研究論文が注目され、ロボットなどの機械やAIによってなくなる職業ランキングが発表され、反響を呼んだ。

オズボーン准教授がコンピューターに代替される確率が90%以上だと指摘した仕事には、小売店販売員、会計士、一般事務員、セールスマン、一般秘書、カウンター接客係、レジ・切符販売、荷物の箱詰め・積み下ろし作業員、金融取引記録保全員、大型トラック・ローリー車の運転手、コールセンター・施設の案内係、乗用車・バンの運転手などがある。

だが、このランキングはアメリカ労働省のデータに基づいて、702の職種で今後どれだけコンピューターなどの技術によって自動化されるかを分析しているため、日本に当てはまらないものが存在する。そこで野村総合研究所がオズボーン准教授と同じ方法で、日本の職業を分析した。

野村総合研究所の分析結果では、日本の職業の49%は10~20年後にはAIやロボットによって代替が可能になるとされる。さらにオズボーン准教授は日本の職業で機械やAIに代替される可能性が高い職業として、会計監査員、税務職員、行政書士、弁理士などの可能性が高く、翻訳や司書はその中間に該当し、雑誌記者、中学校教員、弁護士、歯科医師などは代替リスクが低いと指摘した。

今回の研究で代替されにくいとされた職業は、非定型業務で意思決定者のような職務と、人間にしかできない仕事だ。その一方、事務などのホワイトカラー業務、現在賃金が高い業務はコンピューターによって代替されると指摘された。

マッキンゼーが予測した「生き残る職業」

同様の研究報告はマッキンゼーも行っており、世界46カ国800の職業を調査したところ、2030年までに最大8億人の労働者がロボットによる自動化の影響を受け、職を失う可能性があると指摘している。ロボットによる自動化で、どの程度影響を受けるかは国によって差があり、ドイツやアメリカでは3分の1の労働者が、日本では半数の労働者がロボットによる自動化の影響を受けるとし、新しい職業に従事するための再教育が必要だと提言されている。

ロボットに代替される職業としては、機械の操縦や飲食業に携わる人、住宅ローンのブローカーやパラリーガル(弁護士の監督の下で定型的で限定的な法律業務を行い、弁護士の業務を補助する人のこと)、会計士、バックオフィスの職員などが挙げられている。一方、ロボットによる影響を受けにくいのは、医師、弁護士、バーテンダー、庭師、配管工、介護職といった専門性が要求される職業だという。