「縮む需要」が両者をM&Aに駆り立てる

「格下」が「格上」をのみ込む流れは、数年前から続いている。さきがけは大和ハウスだ。2007年、小田急電鉄傘下だった小田急建設(後に大和小田急建設)に資本参加。さらに13年には準大手のフジタを約500億円で買収した。この2社を15年10月に合併している。

住宅事業からはじまった大和ハウスは、大規模物流施設や大型複合開発、ホテル事業など、海外事業を含めて急速に事業領域の多角化を進めている。このうち特にフジタとは海外でのホテル事業開発での協業や部材共通化による建築コスト削減でシナジー(相乗)効果を生んでいる。

また昨年1月には、積水ハウスが中堅ゼネコンの鴻池組に資本参加。積水ハウスが建設会社を傘下に収めるのは初めてのことだった。昨年5月には旭化成の住宅事業会社の旭化成ホームズも、中堅ゼネコンの森組に資本参加し、筆頭株主となっている。

民間シンクタンクの野村総合研究所は、16年度に約97万戸だった新築住宅着工戸数は20年度までに74万戸へ減少すると予測している。このため、住宅大手は戸建て住宅からマンション、開発事業など周辺領域に事業の幅を広げる成長戦略を描く。

しかし、住宅メーカーの主力はプレハブという工業化住宅だ。マンションや開発事業に取り組むには技術開発が必要になる。そこに建築・土木分野で高い施工技術・能力を備えるゼネコンを取り込む狙いがある。一方、バブル崩壊で大きく体力を消耗した準大手・中堅ゼネコンは東京五輪後の建設需要の冷え込む事情も重なり、住宅大手にとっては格好の取り込み対象というわけだ。

確かに、ゼネコン各社は首都圏での再開発ラッシュや東京五輪特需に加え、深刻な人手不足を背景にして発注先との価格交渉力が増し、工事採算は大きく改善している。その結果、17年4月~9月期の最終利益は大手4社と準大手10社中6社が過去最高を更新した。17年度の国内建設投資額も55兆円と、10年度を3割程度上回る見通しだが、ゼネコン各社はむしろ先行きへの危機感は強く、準大手・中堅で相次いだような住宅大手の傘下に収まる道を選ぶようなケースは今後も増えそうだ。

ただ、住宅大手との連携で狙い通りにシナジー効果を引き出せるかは未知数だ。鴻池組の持ち株会社、鳳ホールディングスに出資した積水ハウスは、持分法の適用により17年1月期連結決算で最終利益を押し上げた。しかし、提携から日も浅く、「披露できるほど目立った成果はまだない」と控えめだ。森組の筆頭株主になった旭化成ホームズも事情は同じ。熊谷組を傘下に収めた住友林業にとっても目に見えるシナジー効果が出るのはまだ先だ。

それでも住宅メーカーとゼネコンを結びつけたのは、中期的な事業展開への危機感だろう。スーパーゼネコンと呼ばれる大成建設、鹿島、清水建設、大林組といった大手であっても、売り上げ規模は住宅大手2強の大和ハウス、積水ハウスを下回っている。東京五輪の後、どれだけ需要が縮んでしまうのか。経験のない「人口減社会」を控えて、各社の危機感は高まるばかりのようだ。

住宅メーカーが戦後生まれの会社ばかりなのに対し、ゼネコンは江戸時代から続く名門が少なくない。そうした歴史の長さも、ゼネコンが住宅メーカーを「プレハブ屋」と格下にみる風潮の背景となってきた。はたして人口減社会において、ゼネコンは生き残れるのか。時代遅れの「格」にこだわっているようであれば、未来は暗いだろう。

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