やたらと「やっぱり」を言うのは、やっぱりよくない
一方、私自身は、自分からすすんで若手に作法を説くようなことは、ほぼやらない。しかし、ここ5年ほどの間で一度だけ、ある若者に「作法」を教えたことがある。その若者はライターなのだが、インタビュー中「やっぱり」を冒頭につける質問を連続させた。
「やっぱり山田さんは、このイベントは若い人に向けて『絆』の強化を狙ったんですか?」
「やっぱり来場者は男性ばかりだったんですか?」
「やっぱりこのイベントが終わった後、山田さんは達成感がとんでもなくあったんですか?」
こんな調子だ。私は彼にこう言った。
「口癖なのかもしれないが、質問にやたらと『やっぱり』を付けてしまうと、相手は『こいつ、何でも結論ありきで聞いてやがるな』と思ってしまう」
「嵐の櫻井翔がニュース番組のキャスターをやっているが、彼もかつて、スポーツ選手に対して話を聞いているとき『やっぱり』を多用していたことがあった。オレはそれを見て『選手に対する敬意が足りない』と思ったんだよね」
「あくまでもオレたちは聞き手なので、しゃべってくれる人の地の声をいかに引き出すか、を軸に考えたほうがいい。だから『やっぱり』を連発する癖は早くなおすほうがいい」
なんとなくエラソーではあるものの、数年間に1回ぐらい、この程度のことはやっぱり言ってもいいかもしれない。
・先輩が教えてくれる「ビジネス作法」。いまはウザくても、後々役立つことが多いので、真面目に耳を傾け、ちゃんと実践したほうがいい。