では、今回の本題である、労働時間と夫の育児家事時間の関係をみていこう。夫の育児家事時間について、「平日から長い」「平日は短いが、休日は長い」「平日も、休日も短い」(iii)の3グループを取り出して、1週間あたりの労働時間を比較してみた(図表3)。
まず、週60時間以上の長時間労働である割合が、「平日から長い」「平日は短いが、休日は長い」「平日も、休日も短い」の順に高くなっている。ここからは夫の長時間労働が、平日だけでなく、休日の育児家事時間を短くしている傾向がわかる。また、「平日から長い」グループでは、週45時間未満である割合が高く、労働時間が短いことが、平日の育児家事の参加に影響を与えることがわかる。
ただし、疑問も残る。平日の育児家事時間が短い2つのグループを比較すると、週45時間未満である人の割合は「平日も、休日も短い」ほうが高いのだ。週労働時間が短くても、平日も、休日も、育児家事に参加しない夫がいる。労働時間だけでは、夫の育児家事時間の参加の違いを説明できそうにもない。
もしかすると、夫の育児家事時間に影響を与えるほかの要因として、共働き夫婦の妻との役割分担があるかもしれない。夫のほうが、役職が高かったり、より責任が大きい仕事をしていたりする場合は、妻がより多くの育児家事を担うという考え方だ。そこで、夫の年収を100%とした場合の妻の年収を、3つのグループで比較してみた(図表4)。
この図表からは「平日から長い」「平日短い、休日長い」「平日も、休日も短い」の順に、夫と比べて年収が低い妻の割合が高くなっていることがわかる。夫の年収に対して妻の年収が低いほど、夫は平日だけでなく、仕事のない休日も、育児家事に参加しない傾向にあることが伺える。