自衛隊は110番しかできない
ドローン規制法は、首都中枢機能の防護が立法趣旨の主眼に置かれていたため、防衛省側としてもそれにぶら下がる政令・省令を市谷に限定せざるをえなかったと推察できる。そうなると現行法令下では、有事とはいえない、グレーゾーンの事態で、敵がドローンに爆弾を積載して護衛艦やF-35戦闘機や那覇基地を攻撃しようとしてきても、自衛隊は110番しかできないだろう。
しかし、防衛省・自衛隊の関心はいまだ薄く、伊勢志摩サミットでも航空自衛隊はドローンによるテロの対策はほとんどしなかったという。
今からでも遅くはない。自衛隊員にドローンの撃墜権限を付与する法律を議員立法で早急に制定し、同時に補正予算でドローンディフェンダーを調達し、各拠点に配備するべきだ。でなければ、我々は戦わずして、敵によって壊滅させられてしまう。
一般社団法人ガバナンスアーキテクト機構上席研究員
成蹊大学法学部政治学科卒。拓殖大学大学院安全保障専攻修士課程修了。同大学院博士課程単位取得退学。専門は米国製軍関係、同国防政策、日米関係、安全保障全般。財団法人世界政経調査会 国際情勢研究所研究員などを経て現職。共著に『「新しい戦争」とは何か』(ミネルヴァ書房)がある。