これには学問的な裏付けもあります。米国でのリーダーシップ研究の結論として、リーダーのあり方は状況に応じて変えるべき、とされています。「状況依存的」といいますが、ある状況において成果を出したリーダーが、別の状況で必ずしもうまくいくとは限りません。
あなたの会社にもいませんか? 役職に上がる前は、みんなの「兄貴分」として頼られる存在であった人が、管理職になると途端に輝きを失ってしまうことが。あれは、環境が変化したにもかかわらず、リーダーシップ・スタイルを変えることができなかったために起こった悲劇です。日本人はどうしても「リーダー」と聞くと「力強く組織を引っ張っていくスーパーマン」のようなイメージを思い浮かべがちですが、そのスタイルは状況に合わせて変えていくべきなのです。
だからスタイルは「服装」と同じなのです。服装はその時々の状況にあわせて変えていくべきです。プライベートではTシャツ短パンでも、ビジネスにおいてはスーツで決める、あるいは終業後のディナーではちょっとカジュアルさも出してみる……。そうした使い分けをするのは、リーダーシップでも同じです。欧米人の管理職と比べると、日本人の取るリーダーシップ・スタイルは幅が狭いとも言われており、意識的に広げていくことがビジネスでの活躍につながります。
この連載ではリーダーシップ、会計、プレゼンテーション、「怒り」のコントロールという4つのテーマについて、専門家4人がそれぞれ3回にわけて解説していきます。次回はリーダーシップの中編、サーバント・リーダーシップについて。11月21日火曜日掲載の予定です。