単なる「魔女」ではなく「本物の魔女」

そのうえで林氏は「魔女」という評価を下している。

「まことに失礼ながら『魔女』という言葉を思い出した。これほど人々の心を操れる人がいるだろうか。これほど堂々と嘘がつける人がいるか」
「すごいと思う。しかし都議選の時のように、『もっとやれー、もっとやれー』という声援をおくる気にはなれない」

林氏はさすがである。「人の心を操る」「堂々と嘘をつく」という指摘は鋭い。「魔女」というたとえにも説得力がある。

しかしここであえて言わせてほしい。大衆は「小池劇場」が大好きなのだ。いまは小池氏という政治家が演出するドラマに夢中になっている。とりわけそのドラマに毒があればあるほど、惚れ込む。魔女は熊の肉や蛇の皮を薬草などと一緒に煮込んで毒を作る。小池氏がさまざまな政治家を巻き込んだ新党も、強い毒をもつが、それが大衆を酔わせ、痺れさせる。そして大衆はその毒によって魔法をかけられ、小池劇場から大きな元気をもらうことができるのである。

だからこそ、小池氏の出馬を期待する。来る衆院選挙で圧勝し、「安倍1強」を制止した小池氏に拍手喝采を送りたいのである。そうすることで大衆は大きなエネルギーを得ることができる。

小池百合子という政治家は単なる魔女ではない。本物の魔女なのである。小池氏もそのことをよくわかっているはずだ。だからこそ都知事選に勝ち、都議会のドンを倒し、都議選でも自民勢力を打ちのめすことができたのである。

政党を渡り歩き、権力に食い込む

「政治家・小池百合子」は、政党を転々としながら、時の権力にしっかり食い込んできた。

小池氏は1952年7月15日に兵庫県芦屋市で生まれた。関西学院大を中退し、エジプトのカイロ大を卒業。テレビ東京のキャスターを経て1992年の参院選で初当選した後、翌年から衆院議員に当選した。2000年9月には女性として初めて自民党総裁選に出馬している。

政界入りしてからは、日本新党代表で首相に就いた細川護熙(もりひろ)氏や、1994年に新進党を立ち上げた小沢一郎氏とともに歩み、小池氏は広告塔としての役目を果たした。

2002年に自民党に移ると、今度は小泉純一郎首相(当時)に接近する。05年の「郵政解散」による衆院選では、郵政民営化に反対する議員の選挙区に「刺客」として鞍替えすることを自ら志願し、小泉首相の戦略に大きく貢献した。

民進党代表の前原氏とは政治家として駆け出しのころからの旧友で、日本新党でも一緒だった。だからこそ、民進党からリベラル派を追い出し、自らの味方に付けることに成功したのである。