政治家に緊張感を持たせる二大政党制は一番「まし」な制度

前号では、10年後・20年後に二大政党制が確立することを見据えて、とにかく今は自らは屍になる覚悟で、小池百合子さん、前原誠司さん、松井一郎さんたちで棲み分けの密約をすべきと提言し、今号で密約の方向性を語るはずだった。

だけど、ほんと僕は完全に無責任な評論家になったとつくづく感じたね。小池さん、前原さんは棲み分けどころか、民進党解体って、やり過ぎーー!!(笑)

いやー、これは凄かった。ここまで小池さんと前原さんがやるとは全く思っていなかった。

一応、僕がメルマガで書こうと思った密約の方向性を紹介すると、

(1)小池さんと松井さんとの間で東京と大阪の棲み分けをする。つまり小池新党と維新は小選挙区でぶつからないようにして無駄な戦を避ける。(2)前原さんは、東京の小池新党と大阪の維新の力を認めて、民進は東京・大阪から撤退する。(3)民進は地方部をメインにするが、民進のイデオロギーに囚われている左巻きの何でも反対勢力や、小選挙区で当選する実力がないくせに議員バッジを確保するためだけにあっち行ったりこっち行ったりするチョロネズミ連中のところには小池新党や維新の候補者に選挙区を譲って、民進党の支持率低迷の原因となっているポンコツガラクタ議員を民進から外に出す。

というものだった。

小池新党と維新の(1)の合意は9月30日に成立。ところが民進党の(2)(3)については、前原さんはなんと民進党の解体というアプローチを採った。

僕の提案は、民進党はとりあえず存続させ、前原さんが持っている候補者公認権の力で民進党を解体的に刷新するというもの。

大阪維新は7年かけて大阪では基盤を築いた。民進党の議員は大阪市議会では0。大阪府議会では1。堺市議会でも党名がなくなってしまった。国会議員も小選挙区では辻元清美さんが勝っただけ。もう消滅状態。小池新党も、今後の小池都政の成果を見せることによって東京で基盤を築く可能性が高く、それは現民進党が東京で勢力を回復する可能性よりもはるかに高い。

大阪維新が大阪で基盤を築くことができたのは、大阪府知事、大阪市長が大阪維新なので、知事や市長の行政権・予算編成権を通じて、大阪維新の政策を大阪で実行することができたから。もちろん大阪維新の政策には賛否両論があるけれども、それでも口で言うだけではなく、政策を実際に実行したので、政策の結果を府民、市民が現実に感じてくれて支持が固まってきた。東京においても小池さんが知事として政策を実際に実行すれば、都民はその結果を感じることができる。野党はある意味口だけ、批判だけで、政策を実際に実行することはできないのでよほどのことがない限り支持が広がらない。そうであれば東京都政において野党である現民進党が東京で勢力を回復するよりも、今後都政与党の小池新党(都民ファーストの会・希望の党)が基盤を築く可能性の方が高い。

ゆえに民進党は東京・大阪から撤退して、加えて民進党の解党的出直しを断行するというのであれば、民進党のメンバーを大幅に刷新する必要があると考えたんだ。

二大政党制にも色々と問題があるが、政治家に緊張感を持たせるには、二大政党制が他の制度と比べて一番ましである。政治家は落選する危機感を抱いてこそ、初めて一生懸命になる。

見てよ、今の民進党の右往左往ぶりを。あれだけ安倍晋三首相の平和安全法制や憲法改正の姿勢について猛反対していた民進党の議員が、希望の党に入るためにその話はもううやむや。とにかく当選するために必死になっている。これが議員の本性。まあ議員というのはよく言えば戦国武将のようなもので、大合戦のときに武将が自分の生き残りをかけて右往左往するというのは歴史的事実なんだけどね。

(略)