欧米で「介護離職」はなぜ目立たないか
「介護離職」への危機感があるのは、日本では「親族による自宅での介護」が依然として多数だからだ。図3をみると、主に事業者が介護をしているケースは15%未満だとわかる。
「欧米では介護は日本ほどの問題になっていません。それは意識のあるうちに『尊厳死』を迎えられるからです。日本では最後まで親族が手厚い介護をすることが求められ、尊厳死に至るプログラムが十分ではありません。国の財政は厳しく、社会福祉予算は段階的に減らされます。そのとき介護や老後への考え方が現状のままでいいのか。早急に議論を喚起すべきでしょう」(ブロガーの山本一郎氏)
図4にあるとおり、社会保障給付費は100兆円を超え、さらに増え続けることが見込まれている。「対国民所得費」は2012年の時点で30.9%。これから老後を迎える世代において、これまでのような「手厚い介護」を受けることは現実的ではない。個人としての備えと覚悟が必要になる。