働き方改革で恩恵を受ける女性はいない

――会社員は、会社の魂胆を見抜けていないのでしょうか。

会社の魂胆を見抜いているから、残業時間規制に取り組んでいるようにしているのです。能力があるふりをして、仕事ができるふりをして、がんばってしまうんです。残業規制の中、きちんと仕事をする「素晴らしい自分」を演じているのです。私が労働相談を受けていると、特に大企業や外資系企業に勤務する人に、そうした傾向を感じます。特に30~50代の独身女性からの相談が増えています。

――「働き方改革」で女性は働きやすくなる、ということではないのでしょうか。

そんなことは、マスコミが騒いでいるだけじゃないですか。「働き方改革」で、ほとんどの女性は恩恵をこうむっていません。解雇でもセクハラでも、労働相談の件数は一向に減っていません。厚生労働省の総合労働相談件数(平成28年度)は113万741件で、9年連続で100万件を超えています。東京都の労働相談件数も、11年連続で5万件を超えているのです。こういう厳しい状況が変わらないから、「なんちゃって個人事業主」が魅力的にみえてしまうのでしょう。

そこに落とし穴があります。働き手をドロップアウトさせる仕組みがあるのです。こういう点を無視して、メディアが「働き方改革」を取り上げていることに、私は危惧を抱いています。

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