お客様の入り口にお金と手間をかける
【田原】そんなに売れるならほかの業者もやるでしょう? どうして山川さんの会社だけ繁盛したのですか。
【山川】真面目にやってきたからだと思います。じつは悪質な業者もいて、先にお金を送ってもらったのに商品を発送しないところがけっこうあります。すると、なぜかビィ・フォアードに「助けてくれ」と電話がかかってくる。一応、その業者に電話をかけるくらいのことはしてあげますが、たいていはすでに逃げたあと。で、「連絡つかなかったよ。なんでうちから買わなかったんだ」と(笑)。
【田原】真面目に商売していればどこでもビィ・フォアードになれますか。
【山川】どうでしょう。私たちの強みはシステム投資です。まず入り口で、お客様が見るページにはお金と手間をかけています。競合他社は車1台につき写真2枚で、しかも値段は会員登録しないと見られません。一方、私たちは最初からすべて閲覧できて、写真は35枚。国はタンザニア、港はダル・エス・サラームと選択すると、輸送費も含めた値段までわかる。ここまでやっているからご利用いただけるのかと。
【田原】ほかは、どうして値段を公開しないのですか。やればいいのに。
【山川】それまでの中古車ビジネスはBtoB。日本で仕入れて現地の販売業者に売るモデルでした。でも、私たちはBtoCで、サイトを使い安くするのはあたりまえ。BtoBから出発していると、そのあたりの発想ができないのかもしれません。
【田原】BtoCということは、お客さんに車を直接届ける?
【山川】内陸国の場合は、民間業者に頼まずにパートナーと組んで自分たちで運んでいます。車は自走で運ぶので、現地で3600人ほど雇用しています。たくさんのドライバーを雇っているので、タンザニアの副大統領から「雇用を生んでくれてありがとう」と言われました。
【田原】なるほど。それだけ雇っていれば、アフリカで有名になりますね。
喋りが下手だけど一番売りたかった
【田原】山川さんがいまのお仕事をするまでの話を聞かせてください。学生時代からたくさんアルバイトをしていたそうですね。
【山川】留学するとか何か具体的な目標があったわけではなくて、遊ぶお金が欲しかったんです。地方から出てきて、東京の友達に早く追いつきたいというか……。
【田原】大学を卒業後は日産自動車系の販売会社に入って新人賞を獲得した。営業は得意だったの?
【山川】いやいや。もうおわかりだと思いますが、私、喋ることがものすごく下手なんです。だからほかの人と違うやり方で、どうすれば一番になれるのかということをずっと考えていました。