昼寝も寝すぎはダメ
――次は日中できることについて伺います。ずばり、オフィスで昼寝するのはいかがですか?
【小林】毎日の起床時間をそろえたうえで、土日はもちろん平日の仕事中であっても仮眠をとることは大事です。ただし、寝過ぎはダメ、1時間寝るのはよくありません。仮眠は15分から30分くらいがいいです。
また、横にならず、デスクで座りながらの姿勢がお勧めです。なぜなら、これ以上寝たり、横になると深い眠りになってしまうのです。
【佐藤】アイマスクはオッケーです。基本的に仮眠は脳を休めるためなので、目をつぶるだけでも情報遮断されて脳が休まります。
――通勤中電車でうたた寝をする人も多いですね?
【小林】電車のうたた寝は構いませんが、仕事帰りは避けたほうがいいです。なぜなら、夜の本睡眠の2~3時間前に15分でも寝てしまうと、深く寝る力、「睡眠圧」が失われてしまうのです。睡眠圧がたまっていないと、本睡眠への欲求が失われます。
一方、朝の通勤のうたた寝は仕事の効率を上げるのでいいですが、寝るのは30分程度までですね。
――最後に「ニューロスペース」が行っている企業への睡眠研修について教えてください。
【小林】私たちは企業の働き方に合わせてオーダーメイドの研修を行っています。社員の方に睡眠の状況や悩みを伺い、睡眠のパターンを分析して解決策を提供します。
たとえば吉野家は、交代勤務制のパターンによって睡眠のとり方が変わります。工場勤務もそうですね。ANAの場合には、時差ボケの解消プログラムを作っています。DeNAでは新入社員の研修に睡眠研修を取り入れてもらっています。
――企業も睡眠の重要性について気づき始めたのですね?
【小林】健康経営や働き方改革が脚光を浴びていますが、日本が人口減少の中で経済成長をするためには、生産性を上げていかないといけません。そのためには、まず人々が健康にならないと。つまり食事や運動、そして睡眠が大切なのです。
特に十分な睡眠は、集中力、コミュニケーション力が増しますし、嫌な記憶も睡眠中に整理されるのでストレスが軽減されます。睡眠技術のプロが増えれば、生産性は確実に上がりますし、病気になる前にセルフケアできるようになりますね。
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肥満やメタボは体重計で認知されるが、睡眠には客観的な指標が少ないのが現状だ。
ニューロスペースではいま、睡眠が十分とれているか認識できるデバイスを開発中だという。
「睡眠が改善されると社会はガラッと変わる」と小林社長は強調する。
睡眠のことをもっと知れば、私たちの人生はより健康的で楽しいものとなりそうだ。