一方、日本人は仕事に情熱を持つ人が少ない
ところで。
日本人の平均寿命は、女性は世界一で86.99歳、男性も80.75歳と過去最高だ。リタイア後の人生の、なんと長くなったことか。そんな中、もちろん日本人でもイキイキしている高齢者はいるけれど、枯れていく人のほうがまだまだ多いような気がするのは私だけだろうか。特に男性に多く見受けられる。
リタイア組に限らない。現役世代を含む今の日本人に、カルメンさんのような熱い心を常に持っている人がいるだろうか。仕事に対する情熱を胸に抱く人がどれほど存在するだろうか。
博報堂生活総研「定点調査」(2016年)によると、「基本的に仕事が好きである」という日本人は46.7%だった。つまり、好きな人は半数以下。地域差はなく、女性のほうが男性より6ポイントほど高い。女性に仕事好きは多いらしいが、全体の46.7%は同じ調査をした1998年と比較して7.3%も落ちている。
同調査の他の結果では(数字は全体)、
「家族の時間を多少犠牲にしても仕事で成功したい」9.6%
「仕事が第一である」21.6%
「(会社では)気楽な地位がいい」派:「責任ある地位がいい」=79.1%:20.8%
働きたい気持ちはあるけれど、気楽な地位がよくて、なにかを犠牲にするほどの情熱は見えてこない。もちろん、数字だけではわからないけれど、この報告からは日本人の仕事に対するパッションは感じ取れない。
▼「仕事とは生活費を稼ぐためのもの」派が多数
若手社員の「仕事の情熱」は違う調査でも、低いことがわかる。
エンジニア向けウェブマガジン「fabcross for エンジニア」が今年6月に発表した「仕事やキャリに関する価値観」によれば、入社3年目までの社員(一般職)は「仕事とは自分の夢・目標を実現させるためのもの」派が25.3%であったのに対し、「仕事とは生活費を稼ぐためのもの」派が59.3%を占めた。
やはりデータの数字のみでは断言できないが、日本人の仕事に対する情熱は強いとは言えない。その要因には、経済環境など時代背景などがあるだろうが、「仕事熱」を失いつつある日本が心配になる。