安倍首相は声高にスピーディーな改憲挑戦を叫び続けているが、安倍流カレンダーどおりに「首相脚本・自民党演出」の改憲劇が進行する確率は五分五分がいいところだろう。改憲の要・不要、是非の議論や判断も重要なポイントだが、ここへきて、それ以上に改憲劇の行方を大きく左右しかねないのが「安倍政権の急失速」である。

「改憲解散」する腕力と体力が残っているか

今年に入って、森友学園、加計学園の2つの疑惑噴出で支持率下落に見舞われ、都議選でも「1強」の驕りへの批判が大噴出して、政権発足後、最大の逆風に直面している。改憲カレンダーどころか、総裁3選のハードルを越えられるかどうか、と苦境を予想する声も上がり始めた。今年5月以降の「改憲前のめり」は、政権失速を乗り切るために国民の関心を改憲問題に誘導しようとする危機克服の仕掛けでは、と裏読みする人も少なくない。

だとすれば、「20年施行」からの逆算の安倍流改憲カレンダーも、実は「敵は本能寺」かもしれない。表向き「次期総選挙は18年秋」というスケジュールを色濃くにおわせながら、安倍首相は今年、「年内解散・総選挙」の一点突破作戦に踏み切る算段なのか。

今秋の臨時国会の会期中に自民党の改憲原案を大々的にぶち上げ、それを掲げて会期末に「改憲解散」を仕組む。「必勝伝説」が定着しつつある「12月総選挙」を実施する。その可能性は小さくない。今や落ち目の安倍首相に解散・総選挙を断行するだけの腕力と体力が暮れまで残っていればの話だが。

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