【感応度分析をマスターしよう】

(図1)
縦軸と横軸が交差するセル(A)に、今回シミュレーションしたい数字(2年目の利益)のセル(B)を参照。感応度分析の対象エリアを選択(C)し、「データ」→「What-if分析」→「データテーブル」を選択(D)すると右下の画面が出てくる。

(図2)
右下図がデータテーブルの画面。「行の代入セル」には、横軸の参照数字となる「2年目の従業員数」セルを元の収益計画表から選択。「列の代入セル」には2年目の自動車販売「利益」セルを選択。

[これが正解!]
⇒相関表で赤字ボーダーを予測

上図は従業員数と販売成長率の相関表。部長の言う「従業員を40人に増やして、売り上げ成長10%」では、利益は2000万円。従業員数を増やさない場合の予測収益の3400万円からは減少することが判明。5人増やしても成長率が3%にとどまると、100万円の赤字に。従業員を減らし、効率的な営業をするほうが得策だということがわかった。

感応度分析を行った表を見ると、まず部長が言っている「営業スタッフを5人増やして販売売り上げ10%増」という条件では、利益は2000万円になります。すると、収益計画の表で予測した「営業スタッフを増やさずに3%成長」した場合の3400万円から利益は減少してしまいます。部長の提案はあまり得策とはいえません。

さらに営業スタッフを5人増やしても売り上げの成長率が普通ケースの3%にとどまった場合、利益はマイナス100万円と赤字に陥ります。そして悲観ケースである売り上げの成長率がマイナス5%になった場合、利益はマイナス2500万円という大赤字になってしまいます。

この表からは営業スタッフを5人増やしただけで思うように売り上げが伸びなければ、赤字になるリスクが高くなることが見てとれます。

逆に営業スタッフを5人減らして30人にした場合、売り上げがマイナス10%まで下がっても、利益は3000万円を確保できることがわかります。

このように見ていくと、利益を出すうえで大事なポイントは「営業スタッフを増やして売り上げを上げる」よりも「営業スタッフを少なくして、できるだけ効率的な営業をする」ことだと考えられます。

以上のように感応度分析の表が一つあるだけで、各要素が変わると利益がどのくらい変動するのかがひと目でわかるので、今後の方針についても非常に議論しやすくなります。

ビジネスマネージャー 熊野整

モルガン・スタンレー投資銀行で、顧客企業のM&A、資金調達案件に携わる。現在は、インターネット企業の事業マネージャー。全国で「エクセルで学ぶビジネスシミュレーション」のセミナー、企業研修を行う。
(構成=宮内健 、岩辺みどり)
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