シナリオの作成

課長「この予測結果だけじゃ、何とも言えないな。いくつかパターンを考えてみてくれ」
 ⇒いろんなケースの収益予測。どう想定すればいいんだろう……

収益をシミュレーションするには複数のパターンをつくる必要があります。一つのパターンだけでは収益がどのくらい変わるのかわからず、事業リスクをマネジメントできているとはいえないからです。

さまざまなシナリオを想定してバリュードライバーを変えていくと、うまくいったケースではどれくらいの黒字になるのか、逆に最悪のケースではどれだけの赤字になるのかが見えてくるようになります。

シナリオの数については最低でも普通ケース、楽観ケース、悲観ケースの3つは作成したほうがよいでしょう。

一般的に、普通ケースとは「実現可能なケース」であり、過去の収益トレンドをそのまま維持することが多いです。楽観ケースは普通ケースより収益を伸ばしたパターン、悲観ケースは最悪の状態を想定した場合です。

多くの人が悩むのが、楽観ケースと悲観ケースは、具体的にどの程度の成長率を想定すればよいかという点です。例えば、過去に起きた最高・最悪の事態を参考にしたり、他社の事例を自社に当てはめてみたりするといいでしょう。

POINT●3つのシナリオの設定法
普通ケース 
実現可能なケース。過去の収益トレンドをそのまま維持すると想定
楽観ケース 過去に大きな成長をしたときや他社の成功時の収益を想定
悲観ケース 過去に大きな損失を出したときや他社の失敗時の収益を想定

[これが正解!]
⇒「普通」「楽観」「悲観」の3パターンをグラフ化

販売売り上げの成長率について普通、楽観、悲観の3シナリオを立てて、収益を予測(縦軸は100万円単位)。例えば、楽観ケースでは最大6000万円の利益が見込める結果が出た。しかし、若者の車離れなども加味し、最悪の場合は5%のマイナス成長となっても2400万円の利益を確保できることも部長に報告。リスク管理意識も高いという評価を得ることができた。