「英語を話す仕事は人工知能にとって代わられる」

英単語を覚えるために何度も書くが……(写真はイメージです)

日本の早期英語教育は英語を“使う”シーンを想定しない、“勉強のための勉強”になりがちだ。しかしそれでは子どものモチベーションは上がらない。しかも勉強の結果、なんとか英語が話せるようになったとしても、英語圏では誰もが英語を喋れるのだから、やっとスタート地点に立ったに過ぎないのだ。

海外生活を経験したバイリンガルの親は、英語は手段でしかないと知っている。英語圏で英語を喋れるのは当たり前で、その言語を使って“何をするか” が評価される。だから言語そのものよりも、表現するべき内容のある人間に育てることが先決だと考えているのだ。表現したい中身があれば、言葉は後からついてくる。

「マルチリンガルよりもマルチカルチュアルにしたい」

バイリンガルの親たちの英語教育を聞くと、冷静に子どもが育つ環境や、その子自身の資質を見極めていることが分かった。しかし、それは彼らが英語教育を軽んじていることを意味しない。

「将来わが子にもバイリンガルになって欲しいか」という問いには、ほとんど全ての親が「Yes」と答えていた。ただし、すでに英語を身につけている彼らは、単に語学を習得することの一歩先を見ているようだ。

現在の日本では英語に堪能なだけで一目おかれ、仕事でも有利に働くことが多い。しかし先に触れたように、海外に出れば英語が使えることは基礎的能力に過ぎない。また将来的には人工知能が発達し、コンピューターによる言語サポートが可能になる見通しもある。そうなれば単に英語が喋れることだけに注力していたのでは、いずれ人工知能にとって代わられてしまうことも考えられるだろう。

語学に堪能な親たちもその事実を認識していて、「英語そのものよりも、感性や論理性を身につけること」「多様性に対する寛容力を身につけること」「マルチリンガルよりもマルチカルチュアルであること」を重要視していた。

母語以外の語学を習得することは確かに意義のあることだ。しかし、未来に活躍できるバイリンガル人材になるためには、何のために語学を身につけるのか、学習を通してどんな力を付けるのかを意識した教育を行う必要があるだろう。

(注1)「子どもの英語学習に関する意識調査2017」
http://www.aeonet.co.jp/information/newsrelease/170414.html

(注2)参考資料 「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ」
http://bunkyosha.com/book/9784905073369

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