【田原】男性はどうして寄せるのがいいと思うんだろう。

【ハヤカワ】私もわからないです。田原さん、自分の胸に聞いてください(笑)。一つ加えると、胸が大きいほうが勝ちだと思っている人は男性だけじゃなく、女性にもいます。社会的なものなのかわからないですが、そういう価値観にとらわれるのはとても残念。「feast」のブラジャーで、小さくてもかわいいということが伝わればいいなと思っています。

【田原】デザインに凝っているということは、価格も高くなるのですか。

【ハヤカワ】若い女性向けの中国製の量産品に比べれば高めで、日本製と比べれば逆に安いですよ。ロットを積めないのはコスト面で不利ですが、よくある素材でつくられているので、小ロットにしては低コストで生産できています。

【田原】客層はどうですか。ターゲットは若い女性?

【ハヤカワ】お客様は高校生が多いのかなと思っていたら、じつはそうでもなくて。意外に多いのは主婦の方です。しかも胸の小さな方だけじゃなくて、着ないけど観賞用に買うとか、クローゼットにかわいいブラをしまっておきたいという方もいます。予想外でしたが、それもうれしいですよね。

起業しても、美大に通う理由

【田原】ハヤカワさんは2015年にウツワを立ち上げる。法人化したのはなぜですか。

【ハヤカワ】当初は起業に興味がなかったんですが、知り合いから「売り上げが1000万円を超えたら、法人化しないと大変だよ」とアドバイスされまして。

【田原】過去の記事を読むと、「お金を稼ぐことに興味がない」とおっしゃっていますね。

【ハヤカワ】タイツを売っていたころは、利益を出すのは悪いこと、儲けるのは卑怯なことだという感覚がありました。下着も最初は同じでしたが、やっていくうちに、しっかり利益を出さないと、欲しいと言ってくださる方に商品を届けられないことに気づきました。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、私が見たいのは、お客様が喜んでいる姿。そのためには、しっかり利益を出すことが大切。いまは、そう考えています。

【田原】なるほど。年商はどれくらいになりましたか。

【ハヤカワ】4700万円です。

【田原】従業員は何人ですか。

【ハヤカワ】いまは私とフルタイム3人のほかはバイトです。大学卒業までに社員は6人以上にしたいですね。昔は雇用に興味はありませんでしたが、実際に経営を始めると、うちのブランドで食べていける人が増えるのは素敵なことだと思うようになりました。いまは経営者として人を雇っていきたいという気持ちが強いです。

【田原】すっかり経営者の顔になっていると思うけど、まだ学校に通ってらっしゃる。もう行かなくてもいいのでは?

【ハヤカワ】よく言われますが、あと1年なので、卒業はしておこうかなと。広告の勉強もためになりますが、美大だから優秀なクリエーターが多くて、そういう人たちと知り合えることが私の中で勉強になっています。

【田原】仕事と学校の両立はどう?

【ハヤカワ】私、プライベートと仕事を分けないタイプなんです。たとえば大学の休み時間に仕事のメールをしたり、仕事の合間に授業の課題のことを考えたり。ここは大学だからとか、ここは会社だからと区別せず、つねにどちらかをやっている状態です。