低所得者と富裕層の「1」はまるで違う!

ヴェーバーの弟子のグスタフ・フェヒナーは「ウェーバーの法則」から以下のフェヒナーの法則を導き出しました。

【フェヒナーの法則】
感覚量は刺激強度の対数に比例する。
E(感覚量)=K(定数)logR(刺激強度)

これをグラフにしてみると、下記のようになります。

仮に、図の「刺激強度」を所得とすると、所得が低い間は1単位の感覚量は少しの増加で急激に上がっていきますが、その後は1単位の感覚量の増加に膨大な収入の増加が必要になってきます。

所得1000万円の人が所得1億円になったときに感じる感覚量の差を所得1億円の人が感じようとすると所得10億円になる必要があります。

つまり、所得の増加は高額所得者になればなるほど、だんだん所得の増加によって与えられる感覚量を鈍くしていくことになります。

「所得が増えるほど生活の小さな他の楽しみを味わう能力が減ってくるのではないか」というカーネマンの説はフェヒナーの法則とも符合するものかと思います。

前回の記事でもお話しましたが、横軸を収入の値とし、それを対数で表示した場合。どこまでも幸福感(図の縦軸)が伸びるとしても、現実的に所得を一定の水準を超えて指数的に伸ばし続ける人が世の中にいるかと言えば、ほとんどいません。

僕は脱サラしてから数年で所得1億円を達成しました。しかし、10億円超えには実に16年という歳月がかかりました。そして、その次の桁(100億円)を達成することは僕が生きている間にはさすがに難しいでしょう。

そして1単位の主観的幸福(縦軸)を増加させるために残りの一生涯をかけることには正直意味がないんじゃないかなと思っています。

だとすれば、幸福感が頭打ちの状態になる程度の所得なり資産なりを獲得した人が主観的幸福に影響を与える要因について考える、つまり幸福学について考えていくのは当然の流れだと言えます。

ただ単に「所得だけ」が主観的幸福に影響を与えるわけではありません。

人間関係、心身の健康などお金をかけることで大きな見返りが得られるものが他にあるのに、無理して指数的な所得の増加という手段で幸福感を得る必要がないことは明らかです。

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