(4)1枚の魔法
「スピーチの原稿を準備する場合は、話す内容を何枚かに一字一句書き出すのではなく、紙1枚にキーワードだけを書き出しましょう」
実は脳にとっては、紙1枚の原稿で全体を俯瞰しながら話すほうが、負担が軽いのだ。
「おすすめはマンダラボックス法(図2)。真ん中にボックスを描き、その周りにさらに8つのボックスを描きます。中央には話すタイトル名、周りのボックスには右上から話す流れに合わせてぐるりとキーワードを書き込みます」
キーワードだけだと不安に思うかもしれないが、普段から一字一句書いた原稿を持たずに、頭の中で思い浮かべたキーワードにそって長々と会話している。そちらのほうが棒読みにもならず自然に話せるのだ。
「完璧に喋れるようにと練習を何度もすると、キーワードだけの原稿をつくっても、結局、話す内容を一字一句暗記してしまいます。これだと、本番中に少し言い間違えただけで、あとが続かなくなる危険性があります」スピーチ練習では、言い回しなどは、固定せずに行うとよい。
(5)行動の魔法
新しいセルフイメージを唱える、絵を描いて何度も見るなど、これまでに学んだ内容を行動に移すときに注意すべき点と、本番があることの重要性について押さえておこう。
「新しい行動を始めたら『こんなことをしてもムダ。やめてしまえ』という心の声が聞こえるかもしれません。人間の本能は無事に生きられている〈今〉を安全と捉えているため、変化を感じるとストップさせ元に戻そうとするのです。いわゆる3日坊主の原因です。それでもやめずに続け、変化した状態のほうが安全だと脳が認識するまでトライし続けましょう。
また『緊張しなくなってから人前で話したい』という人がいますが、それではいつまでたっても克服できません。近い将来に本番があってこそ、臨場感を持って準備に取り組め、その効果が高まります」
上手に話すことを考えるのは、あがり症を克服したあと。まずは〈5つの魔法〉で、人前で話す楽しさを実感しよう。
1. 言葉の魔法
・マイナスの言葉を捨てる
・新しいセルフイメージをつくり、朝晩唱える
2. 態度の魔法
・新しいセルフイメージに合った人物を研究し、態度を真似てみる
3. イメージの魔法
・大成功している絵を描き、くり返し見る
4. 1枚の魔法
・マンダラボックス法で「読む」→「話す」から「見る」→「喋る」へ
5. 行動の魔法
・変化に対する脳の抵抗が生じてもトライし続ける
・近い将来に人前で話す状況を設定する