【3】積み立て終身保険 vs 掛け捨て定期保険
▼月額2000円程度の定期保険で十分な理由
定期保険は終身保険より保険料は安く、保障期間は「○年間」または「○歳まで」と限定されている。掛け捨てなので解約時の返戻金はほとんどない。
一方、終身保険は、保険料は比較的高いが、解約時に返戻金があるので、貯蓄の代わりに加入する人が多い。「生涯保障が続くので、老後の備えになりますよ」とも言われるが、注意が必要だ。一般的に、60歳や65歳などの払込終了時点での解約返戻金は、それまでに払い込んだ保険料総額よりも少ないかトントンくらい。お金を増やすことが目的なら貯蓄のほうが優れている。相続対策が目的であればともかく、資産形成層にとっては不向きだ。
また払込期間の途中で解約してしまうと、元本割れすることも多い。貯蓄と違って、いつでも引き出せるというものではない。
ほかには貯蓄性のある保険として、「個人年金保険」も話題になるが、貯蓄目的で個人年金保険に入るのはおすすめできない。毎月支払う保険料には「付加保険料」という保険会社の諸経費も上乗せされており、全額積み立てられるわけではない。現時点で販売されているものは予定利率も低く、途中で解約すれば元本割れのリスクもある。
「個人年金保険料控除」の対象になれば節税効果はあるが、無理に積み立てるよりは、現金での貯蓄を勧める。
保険は「いざというときに備える」ためのものだ。十分な貯蓄があれば保険加入の必要はほとんどない。貯蓄が少なく、教育費が準備できていない場合に、必要な期間だけ入るのが賢い使い方だ。たとえば「保険期間10年、死亡時1000万円」といったシンプルな商品がいい。年齢にもよるが、保険料は月額で2000円程度で済む。
教育費だけでなく、妻子の日々の生活費も心配なのであれば、「収入保障保険」を検討してもいいだろう。ただし、保険に入って安心するのはよくない。家計の状況にあわせて適宜見直していくべきだ。子どもが独立すれば、高額な死亡保障は要らなくなる。家計がきちんと見通せていれば、年々貯蓄が増えていくはずだ。貯蓄が増えれば、それにあわせて保険を減らすことができると考えよう。
目的にあわせて保険を選ぶことができていれば、支払い額の減額や保険の解約などの見直しもやりやすい。なにより保険料も少なく済み、貯蓄に回せる金額が増える。保険からははやく卒業することが家計にはベストだ。