兄弟姉妹の比較は百害あって一利なし!

【2.個性尊重は一律比較からの脱却手段】

学校の場合、生徒間で比較を余儀なくされる場面が多々あります。
・日々のテストで測る学力。
・運動会での走る速さや力の強さ。
・音楽発表会でのピアノや歌唱の技能。
・絵を描く技能や工作の技能。
・作文力や字のうまさ。
など。

これらは、学校の側が競争をやめさせようとしても、なくなるものでありません。人間は自然に周りと比較するようにできているので、勝手に比べます。テストや通知表を友人同士で互いに比較して一喜一憂するのも、さもありなんというところでしょう。

学校はよくも悪くも、そういう場です。そこで私が強調したいのは、だからこそ、「比較をせずに自尊感情を高める」手段をとる必要がある、ということです。

近年、個性発揮の大切さが叫ばれるのも、このあたりに要因があります。

ひとつの物差し(ペーパーテストなど)によって比較できる能力よりも、様々な価値観・物差しで評価しようという動きです。ペーパーテストや競争で測れる学力を否定することなく、それ以外の価値も含めて認めていこうということです。子供の興味の対象や趣味・習い事が多様化しているというのも、画一的な比較によらない自分の世界を持つという点において望ましい傾向と言えます。

【3.兄弟姉妹の比較は百害あって一利なし】

以上を踏まえて、家庭教育を考えてみます。

子供の家庭での自分の位置付けは、どのように認識するのが望ましいのでしょうか。言うまでもなく、安易に身近な人と比較するのはマイナスです。兄弟姉妹の比較を多くの親がしてしまいがちですが、プラスの教育効果は生まれにくいです。

天秤に載せれば、一方が上がり他方が下がります。つまり、家庭内で確実に「下がる」子供が出ます。併せて「上がる」子供にもマイナスの影を落とします。傲慢さを生み出すリスクがあるのです。

家庭でそうした教育を受けた子は、外の社会である学校でも比較をしようとします。友だちと自分を比較して、格差付けをするようになります。

こうした行為によって、他人を見下したり羨ましがったり、自分を卑下したり傲慢になったりする子供が増えてしまうことがあります。やがて他人をリスペクトすることなく、乱暴に他者を批判・批評するような傲慢な大人に育ってしまうこともある。

そういう意味でも、親がついしてしまいがちな兄弟姉妹の比較による評価は、即座にやめるべきです。百害あって一利なしです。