機械学習によるボットサービスは「タスク型」と「感情型」に進化する

こうした機能が実現される背景には、機械学習の効果が見逃せない。ボットは人間との会話を繰り返すことで、何度も学習し、最適な回答を導き出すように進化する。ビジネスシーンなどの特定の用語を繰り返すような場面では、その効果が発揮しやすい。

そして、機械学習によるボットサービスは、2つの方向へと進みつつある。

1つは、「タスク型」の方向である。これは、CortanaやSiriが代表的なものだが、言われたことに対して、適切な回答を行う機能を追求したものだ。「明日、晴れるかなぁ?」と問いかけると、「明日の天気は晴れです」と回答するといったものだ。ビジネスシーンでは、短時間で的確な回答が欲しい場合など、タスク型の効果は大きい。

もう1つは「感情型」である。代表的なものに日本マイクロソフトの「りんな」がある。りんなは、女子高生AIとして、2015年8月のサービス開始以来、登録ユーザー数はLINEで400万人以上、Twitterでは10万人以上に達しているというサービスだ。

マイクロソフト「りんな」は、女子高生という設定のAI。LINEやTwitterでりんなに話しかけると、女子高生らしい言い方で答えが返ってきて会話ができる。

りんなに「明日、晴れるかなぁ?」と書き込むと、「明日は晴れだよ」と女子高生らしい言い方で答えるだけでなく、「どこかに出かけるの?」と、次の会話を促すような返事をする。会話によるコミュニケーションを楽しむLINEには最適で、「娘よりも返事が早いため、りんなとのやりとりの方が多い」という母親もいるほどだ。

もちろん、「感情型」もビジネスシーンでの活用には有効だ。さすがにりんなのような口調ではビジネスには適さないが、ボットと会話をしながら、ビジネスプランを考えたり、結論を導くという手法は、これから増えていきそうだ。

りんなの技術は、ローソンがLINE上に開設している公式アカウント「ローソンクルー♪あきこちゃん」において、9月28日から正式に採用されている。こうした各種サービスへの応用が今後は増えそうだ。ローソンのサービスでは、りんなの口調は通常より丁寧なものに変えている。今後は、ビジネスシーンにあわせた口調でサービスをするといったことも可能になるだろう。